B型肝炎の治療、抗ウイルス薬エンテカビルは子どもにも効くのか?

エンテカビルはB型肝炎ウイルスを駆除するために使われる薬ですが、その効果と安全性は成人に対して知られているものの、子どもに対しては十分確かめられていません。新たに子どものB型肝炎を治療する研究が行われました。
◆2歳から18歳の慢性B型肝炎患者が対象
この研究では、2歳から18歳で慢性B型肝炎がある患者180人が対象になりました。対象者はランダムに、エンテカビルの治療を受ける群と、偽薬を使う群に分けられ、48週以上の治療を受けました。
◆ウイルス駆除に効果あり
次の結果が得られました。
治療48週での主要エンドポイントの達成率はエンテカビル群で偽薬群に対して有意に高かった(120人中29人、24.2% vs 60人中2人、3.3%、P=0.0008)。
エンテカビルはよく忍容され、有害事象または成長の変化について、偽薬とエンテカビルに差は見られなかった。
治療開始から48週後に、B型肝炎ウイルスの検出量が一定基準未満になった人の割合は、偽薬群の3.3%に比べて、エンテカビル群で24.2%と大きくなりました。副作用と疑わしい症状や成長への影響は見られませんでした。
研究班は「これらの結果は、慢性B型肝炎のある小児または思春期の患者に対して、エンテカビルを治療選択として使うことを支持する」と結論しています。
大人によく使われる薬でも、子どもには意外な影響を与えることがあります。このように確かめられることで、子どもの治療に安心して薬を使うための助けになるかもしれません。
執筆者
Randomized Controlled Trial of Entecavir Versus Placebo in Children with HBeAg-positive Chronic Hepatitis B.
Hepatology. 2015 Jul 29 [Epub ahead of print]
[PMID: 26223345]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。