◆電気刺激の耳鳴りに対する有効性を検証
経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は、頭皮上に電極を貼り、かなり微弱な電気を流すことで脳に刺激を与え、脳の活動を上げたり下げたりできる手法です。
今回の研究では、慢性的な耳鳴りを患っている27名を対象に、tDCSを実施しました。 電気刺激の強度を2種類(1mA/2mA)、時間を2種類(10分/20分)設定し、それらの組み合わせで計4種類の治療を行いました。4種類の刺激を、対象者全員が受け、その効果を比較しました。
◆より強い強度で、長時間の刺激が有効
調査の結果、以下のことを報告しました。
耳鳴りの大きさと煩わしさについて、刺激時間(F(1,26)=10.08、p<0.05)と直流強度(F(1,26)=14.24、p=0.001)で有意な変化が認められた。
tDCS後、耳鳴りは改善し、刺激時間が長く、強度が高いと、より効果的でした。
筆者らは、「直流強度が2mAで、20分の刺激が耳鳴りそのものの改善に最も効果的な方法であった。」と述べています。
tDCSが耳鳴りに対して効果的であること、さらに効果をより大きくする方法を検討した論文でした。一見すると、強度が高く、時間が長い方が効果的であるのは当たり前と思えるかもしれません。しかし、過剰な刺激は逆効果を生む可能性もあり、ここで示された結果は重要です。今回の結果は、1週間の介入前後で検証したもので、長期的な効果は不明です。今後さらなる検証に期待したいです。
執筆者
Intensity, Duration, and Location of High-Definition Transcranial Direct Current Stimulation for Tinnitus Relief.
Neurorehabil Neural Repair. 2015 Jul 15
[PMID: 26180052]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。