◆ランダム化比較試験による効果検証
凍結肩に対するリハビリテーションには、関節モビライゼーションと呼ばれる関節の動きを良くする手技や筋肉を伸ばすストレッチがあります。
研究グループは、凍結肩に対し関節モビライゼーションとストレッチを併用することの効果について検証することを目的に研究を行いました。対象は、30名の凍結肩を持つ患者です。
対象者を関節モビライゼーションとストレッチの双方を行った群とストレッチのみを行った群にランダムに分け、治療を行いました。また、双方のグループに対し、自宅で行うことのできる自主トレーニングを6週間にわたり指導し、その効果(手の機能、関節の動き、痛み)を測定しました。
◆ストレッチと関節モビライゼーションの併用が肩の関節角度を改善
ストレッチと関節モビライゼーションを同時に行った場合、1年後の関節が動かせる範囲は大きく改善しましたが、ストレッチのみを行った場合、このような効果は得られませんでした。
研究グループは、「凍結肩の患者の治療において関節モビライゼーションとストレッチを同時に行うと、ストレッチのみを行ったときに比べて外旋および外転の可動域や手の機能スコアがより改善した」と述べています。
動きにくく硬くなってしまった肩の動きを改善するには、筋肉を伸ばすストレッチのみならず、関節の動きを良くするトレーニングも行ってみると良いかもしれないという結果でした。ほかの治療法と比べるときに参考になるかもしれません。
執筆者
Does adding mobilization to stretching improve outcomes for people with frozenshoulder? A randomized controlled clinical trial.
Clin Rehabil. 2015 Jul 30.
[PMID: 26229109]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。