◆非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と対照群の遺伝タイプを比較
今回の調査は、以下の方法で行われました。
253名のNAFLD患者(189名の非アルコール性脂肪性肝炎[NASH]と64名の単純脂肪変性)と578名の対照群に対し、Taqman Assayを用いてrs738409型のSNPを同定した。
NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)患者とNAFLDがない人の遺伝子を比較して、NAFLDに関係すると見込まれた「PNPLA3」遺伝子の特定の型が見つかる頻度に違いがあるかを調べました。
◆PNPLA3の変異がNAFLDの発症に関連
調査の結果、以下のことを報告しました。
rs738409のリスクとなる対立遺伝子(G対立遺伝子)の頻度は、対照群で0.44、NAFLD患者で0.60であった。この頻度は、NAFLDと強く関連していた(加法モデル、p=9.4×10-10)。
年齢、性別、BMIで調整したオッズ比(95%信頼区間)は1.73(1.25-2.38)であった。
NAFLDの患者には、PNPLA3遺伝子にある特定の変異がある頻度が大きくなっていました。
今回と類似した海外の研究では、PNPLA3以外にも関連する変異について、様々な報告がされています。一方、日本ではPNPL3以外に関係する遺伝子は見つかっていません。『NAFLD/NASH診療ガイドライン2014』では、「これらの臨床的有用性については更なる検討が必要である」と記載されています。
執筆者
Association of the rs738409 polymorphism in PNPLA3 with liver damage and the development of nonalcoholic fatty liver disease.
BMC Med Genet. 2010 Dec 22
[PMID: 21176169]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。