1型糖尿病にマグネシウムが関係する?
体に微量に含まれている金属は、体内の物質の代謝に関与していると言われています。今回研究チームが1型糖尿病患者の血液中の金属の量について評価した結果、糖尿病がない人よりもマグネシウムが減少していることが分かりました。
◆164人の被験者の微量元素濃度を測定
88人の1型糖尿病患者と76人の健康な被験者の計164人を対象としました。
生体内の細胞に対して障害を与える作用を持つ酸化ストレスの測定と、マグネシウム・
◆1型糖尿病患者はマグネシウム濃度が低い
以下のような結果が得られました。
我々は、より若い1型糖尿病患者でコントロールの被験者と比較して、血中マロンジアルデヒドが高いレベルであることを発見した(p<0.001)。また、
有意 にマグネシウムレベルは低く(p<0.001)、亜鉛およびクロルレベルには変化が見られなかった(それぞれp=0.153、0.515)。
つまり、1型糖尿病状態では健康なときよりも酸化ストレスが高く、マグネシウム量が減少しているが、亜鉛とクロムには変化が見られませんでした。
研究チームは、「
この研究では、1型糖尿病になることとマグネシウムの減少が起きることとの因果関係は明らかになっていません。1型糖尿病になることによってマグネシウムが減少する可能性もありますし、マグネシウムが減少することで1型糖尿病になりやすくなる可能性もあります。研究チームが述べていたように、マグネシウムを補充することで1型糖尿病を抑えることができるのかどうか、今後の研究結果が気になるところです。
執筆者
Magnesium, zinc, and chromium levels in children, adolescents, and young adults with type 1 diabetes.
Clin. Nutr. 2015 Jun 9 [Epub ahead of pront]
[PMID: 26096861]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。