2015.08.01 | ニュース

巨細胞性動脈炎とリウマチ性多発筋痛症を発見する新しい検査

オランダ、51人の検査値から

from Rheumatology (Oxford, England)

巨細胞性動脈炎とリウマチ性多発筋痛症を発見する新しい検査の写真

巨細胞性動脈炎とリウマチ性多発筋痛症は、発熱や痛みの症状だけではほかの病気と見分けにくいことがあります。オランダの研究班が診断に使える血液中の物質を探したところ、3種類の物質から正確な診断ができたことを報告しました。

◆同時に起こりやすい2つの病気

巨細胞性血管炎、リウマチ性多発筋痛症は、どちらも免疫の異常によって自分自身の体が攻撃されてしまう自己免疫が関わっていると考えられています。一方が発症した人にはもう一方も発症することが多いと言われています。また、がんとともに発症することがあると言われています。

 

◆患者と健康な人の血液を比較

研究班は、巨細胞性動脈炎とリウマチ性多発筋痛症の両方があると診断された患者38人(うち24人はまだ治療を受けたことがない人、14人はステロイド薬の治療を受けて症状が治まっている人)と、健康な対照参加者13人を対象として、血液中の候補物質の量を検査し、病気の有無と関連するものを探しました。

 

◆3種類の物質を特定

次の結果が得られました。

血清B細胞活性化因子(BAFF)、CXCL9とIL-6が、新たに診断された巨細胞性動脈炎およびリウマチ性多発筋痛症の患者で増加していた。

BAFF、CXCL9とIL-6は新たに診断された巨細胞性動脈炎およびリウマチ性多発筋痛症の患者と健康な対照参加者を、AUC>0.80と正確に区別した。

候補物質のうち、BAFF、CXCL9、IL-6という3種類の物質が、まだ治療を受けていない患者では多くなっていました。これらの検査値で区別すると、診断の精度を示す曲線下面積が0.8を超えるという結果でした。

曲線下面積は、病気を漏れなく発見する能力(感度)と、病気でない場合を病気と間違えない能力(特異度)の両方をまとめた指標で、目安として0.7以上ならば信頼度は中等度以上と言われています。

 

ここで特定された物質が実際の診断に使えるかを決めるには、より多くの面から検討する必要があります。巨細胞性動脈炎とリウマチ性多発筋痛症を簡単に正しく診断することができれば、早期治療に結び付くかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Serum markers associated with disease activity in giant cell arteritis and polymyalgia rheumatica.

Rheumatology (Oxford). 2015 Aug

 

[PMID: 25724206]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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