2015.07.25 | ニュース

難病アミロイドーシスの治療へ、肝臓にたまったアミロイドを抗体で除去

15人の第1相試験
from The New England journal of medicine
難病アミロイドーシスの治療へ、肝臓にたまったアミロイドを抗体で除去の写真
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全身性アミロイドーシスは、アミロイドというタンパク質が心臓や腎臓などさまざまな臓器に沈着してダメージを与える病気です。新しい治療法として、アミロイドに対する抗体を注入する治療が試され、効果と安全性を示唆する結果が得られました。

◆15人の患者が対象

研究班は次のように抗体による治療の試験を行いました。

全身性アミロイドーシスの患者15人を対象とした、phase 1のオープンラベル単回用量漸増試験を行った。最初に循環している血漿アミロイドタンパク質を消耗させるためCPHPCを使ったあと、完全ヒト化モノクローナルIgG1である抗血漿アミロイドタンパク質抗体を注入した。

15人の患者に対して、抗体の最適な用量を探るために用量を少しずつ増やして使う試験が行われました。血液中のアミロイドを取り除く効果があるCPHPCという薬剤を最初に使ったあと、臓器にたまったアミロイドを取り除く狙いで抗体が使われました。

 

◆肝臓のアミロイドが減少

試験から次の結果が得られました。

深刻な有害事象は見られなかった。インフュージョンリアクションは、研究の初期に比較的高用量の抗体を使った参加者の一部に起こり、のちの参加者に対しては注入速度を遅くすることで減少した。

これらの患者では、肝機能の改善および、肝臓のアミロイド蓄積量のかなりの減少が血漿アミロイドタンパク質シンチグラフィおよびMRIでの細胞外容積計測によって見られた。腎臓のアミロイド蓄積量の減少と、アミロイドが蓄積したリンパ節の縮小が観察された。

副作用の可能性がある有害な出来事のうち、深刻なものは見られませんでした。また、肝臓と腎臓にたまったアミロイドが少なくなる様子が観察されました

 

全身性アミロイドーシスの治療法は最近まで限られていましたが、CPHPCを含め、新しい治療が使われるようになってきました。この抗体が、より多数の患者に対して効果と安全性を示せるかどうか、期待がかかります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Therapeutic Clearance of Amyloid by Antibodies to Serum Amyloid P Component.

N Engl J Med. 2015 Jul 15 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26176329]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。