◆母乳オリゴ糖があるとき・ないときのカンジダを観察
カンジダ・アルビカンス(カンジダ)は、腸に普通に住み着いていて、口腔カンジダ症などの感染症の原因にもなる真菌(カビ)です。研究班は母乳に多く含まれる母乳オリゴ糖がカンジダに与える影響を調べるため、母乳オリゴ糖がある環境とない環境で、それぞれカンジダが腸の細胞(未熟腸上皮細胞)に入り込む様子を観察しました。
◆カンジダの浸潤が減少
次の結果が得られました。
母乳オリゴ糖による治療は、カンジダ・アルビカンスの未熟腸上皮細胞への浸潤を用量依存的に14%から67%減少させ、生理的濃度(15mg/mL)の母乳オリゴ糖によって浸潤は52%減少した(P<0.05)。
母乳オリゴ糖があるときには、母乳オリゴ糖の量が多いほど、カンジダが未熟腸上皮細胞に入り込む量が少なくなりました。カンジダの菌糸を観察すると、母乳オリゴ糖があるときに菌糸が短くなる変化が見られました。
研究班は、「これらの結果は[...]母乳オリゴ糖がカンジダ・アルビカンスの病原性の特性を減少させることを示し、未熟な新生児の腸をカンジダ・アルビカンス菌糸による浸潤とダメージから保護することにおける母乳オリゴ糖の役割を示唆する」と結論しています。
カンジダは健康な子どもや成人の腸にも住み着いているもので、普段は組織を冒したり異常に増殖することはありませんが、免疫が極端に弱ったときにはしばしば病気の原因になります。母乳オリゴ糖はカンジダを正常範囲に抑える働きに関係しているのかもしれません。
執筆者
Human Milk Oligosaccharides Inhibit Candida albicans Invasion of Human Premature Intestinal Epithelial Cells.
J Nutr. 2015 Jul 15 [Epub ahead of print]
[PMID: 26180242]
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