2015.08.16 | コラム

たかが便秘、されど便秘!!〔小児科に行く前に〕

子どもの便秘は成長、発達にも影響します!早めの対処を!
たかが便秘、されど便秘!!〔小児科に行く前に〕の写真
(C) Oksana Kuzmina - Fotolia.com

排便の習慣は子どもの心と体の発達にも大きく影響します。1日1回、最低でも2日に1回以上排便がない場合や排便時に痛みや出血を伴っていた時には、一度医療機関を受診し、排便について、ご相談することをお勧めします。

まずは、便秘、そしてその治療について重要な点を解説します。

便秘について

  • 肛門手前の最終の腸である直腸に「うんち」がたまる状態が続くと、直腸が伸びきって便が届いている刺激を感じなくなり、便秘となります。
  • さらに「うんち」を出すとき痛みを感じてしまうと、怖がって「うんち」をしなくなり、便秘になるきっかけ、長引くきっかけになります。
  • 小さい時の軽い便秘を放置すると、その後の長い期間の便秘につながります。
  • 便秘がひどくなると、肛門が切れて出血したり、さらにひどくなると腸にたまった便のわきから下痢状の便が本人の知らない間に漏れてしまうよう(失禁)になります。

便秘の治療について

  • 直腸から「うんち」をなくしてしまい正常な直腸に戻すことが便秘の治療に重要です。
  • 浣腸はくせになりませんので、浣腸をしたり、くすりを飲んだりしてでもとにかく「うんち」をだすことが大事です。
  • 水分や食物繊維を多く摂取することも大事です。
  • しかし、乳幼児での便秘では最初は食事だけでのコントロールはできないので、早めに薬剤で治療し、便を軟らかく保ち、痛みなく1日1回うんちを出す習慣をつけ、その後食事での対応にしていくことが重要です。

このことを踏まえて、もう少し便の出るメカニズムも含め解説してきたいと思います。

 

◆うんちの通り道

まずは、「うんち」が出る仕組みを理解しましょう。

普通、便は1〜3日に1回程度出ます。排便は、液状の便が腸の中を通り、腸の中を通っていくに従って水分が吸収され、固形状の塊になります。それが次第に「直腸」まで下りてきます。直腸は肛門の直前につながっている部分です。

便が溜まって直腸が伸びる刺激が脳に伝わり「便意(うんちが出そうという感覚)」が発生します。そこから、腸の動きをつかさどる神経に指令が出て、最終的に腸がうんちを押し出し、肛門からうんちが出ます。

うんちが出ると、直腸がまた収縮し、「うんちが出てすっきり」という感覚になります。

 

◆便秘について

直腸は、柔らかく伸びる性質があります。ここに便がたまると、直腸は伸びてかなりの量のうんちを溜めることができます。小さい時にちょっとしたきっかけで便秘になると、直腸に次々と便がたまり、直腸が伸びきった状態になります。その状態が続くと、便が直腸に届いたという刺激を感じにくくなり、さらに便秘がひどくなってしまいます。

この直腸が伸びた状態を作らないことが重要です。小さい時のちょっとした便秘が、その後の慢性の便秘に移行してしまうことがありますので、注意してください。

便秘でもう一つ重要なことは、うんちが固くなり、出す時に痛みを伴ってしまう場合です。痛みがあると、怖がってうんちをしなくなってしまいます。些細なことがきっかけでどんどん便秘がひどくなってしまうことがありますので、「たかが便秘」と思わずに、医療機関を受診して相談していただくのが良いでしょう。

 

◆便秘がひどくなると...

便秘がひどくなると、うんちをするときに、肛門が切れて出血してしまうこともあります。さらに便秘がひどくなると、直腸にたまった便の塊の脇から、下痢状の便が漏れ出てくるようになってしまいます。

これは、長期間便秘を放置しておくとこのようになり、自分が知らない間に失禁してしまうようになります。知らない間に失禁してしまうと、漏らしてしまったことを怒られてストレスをため込んだり、周囲から「臭い」と言われてしまうこともあります。

そのような場合には、浣腸や腸内洗浄、最悪の場合には、全身麻酔をかけて腸に詰まった便をとりだすことが必要になることもあります。このような状態にならないように、便秘の初期からしっかりと治すこと、便を軟らかく保ち、痛みなく1日1回うんちを出す習慣をつけることが重要です。

 

◆便秘の治療

① とにかく出す

便秘で重要なのはとにかく直腸に便を溜めないということです。「浣腸は癖になりませんか?」「薬を飲むと薬がやめられなくなり、便秘が治りにくくなるんじゃないの?」と心配される保護者の方は多いと思います。

しかし、そんな心配は全くいりません。浣腸、薬を使わないとうんちが出ない状態は、きちんと出るようになれば、自然と浣腸も薬もいらなくなります。使わないと出ない状態は、薬や浣腸を必要としている状態なのです。では、便秘に使う主な薬をご紹介します。

● グリセリン浣腸

グリセリン浣腸は、直腸の壁からの水分吸収に伴う刺激で、腸の動きを促進し、また、便をやわらかくさせて便を排泄させます。直腸にたまっている便を出すのにはとても有効な手段です。

● 酸化マグネシウム、マグラックス

マグネシウム製剤は、便に水分を含ませて便を軟らかくする効果があります。内服の量によって便の硬さは調節できます。薬の量、飲む回数等は便の硬さを見ながら調節するのが良いでしょう。

● ラキソベロン

夜寝る前に口の中に垂らして使用するお薬です。ラキソベロンは、小腸内で分解されず大腸まで届き、大腸の細菌叢(さいきんそう)の酵素により、分解されて大腸を刺激して腸を動かして排便を促します。

● マルツエキス

主成分である麦芽糖が腸内の菌によって分解(発酵)され、生じたガスによって便通を促すとされています。比較的、穏やかな作用であり、主に乳幼児の便秘に用いられます。

薬の他にも、乳幼児であれば綿棒を使って肛門を刺激してあげることで、うんちが出やすくなることもあります。綿棒にベビーオイルなどをつけて、綿棒の先端の膨らんだ部分を肛門から入れて少し刺激することで、出ることもありますので、試していただくと良いと思います。

② 排便に対する恐怖感、ストレスを減らす

緊張している状態だと、腸の動きを調節する神経のバランスが悪くなり、便秘がちになります。リラックスできる状況を作ることが重要です。お母さんが神経質だとお子さんは便秘になりやすいとも言われています。日々の生活のストレスを緩和し、そしてトイレでゆっくりと排便ができる環境を作ってあげることも便秘を改善するのには重要です。

③ 食事

薬や浣腸を使用して直腸に便を溜めこまない様にすることを習慣づけたうえで、その後食事療法をしていくと効果的です。食物繊維を良くとること、水分を良くとることが重要ですが、乳幼児では食事でコントロールするのはかなり難しいといえるでしょう。食事でコントロールできるまでは、浣腸や内服薬をうまく使うことが効果的です。

 

注意していただきたいのは、「ただの便秘」といって便秘を放っておかないでください。便秘に対して、早めに対処していただくことで、慢性的便秘を予防することができます。

また、腸の神経の病気や肛門の位置の異常などでも便秘になることがありますので、便秘の時には一度医師の診察を受け、今後の治療をしっかりと行っていくことが重要です。また、しつこい便秘には継続した治療が必要ですので、薬がなくなる前に定期的に受診をしてください。

排便の習慣は、子どもの心理的そして身体的発達にも大きく影響しますのでご注意ください。

 

【編集部注】

この記事は、「キャップスクリニック」のサイトで公開中の記事をもとに作成しています。

http://www.caps-clinic.jp/forparents/part24

執筆者

白岡 亮平

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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