糖尿病が進行すると認知症リスクも高くなる!

認知症に対する糖尿病の影響を調べる為に、台湾の研究グループは糖尿病を初めて発症した50歳以上の43万人に関する調査を行いました。その結果、糖尿病の重症度と認知症の発症率に関係があることが認められました。
◆台湾での約43万人を対象にした大規模調査
著者らは、台湾の全国的データベースから、12年の研究期間に新たに糖尿病を
◆糖尿病が重症であると、認知症リスクが高くなる。
調査したところ、以下の結果が得られました。
患者の要因、併存疾患、抗糖尿病薬、および薬物遵守に関する補正後のaDCSIスコア変化は、認知症リスクと
相関 関係があった。[...]軽度な進行性患者と比較して、aDCSIスコアが増えるにつれ補正ハザード比も増加した(1年あたりのaDCSIスコア変化が0.51から1、1.01から2.00、2.00より大きい患者の各グループと、0.50未満の患者を比較した場合、2年間ハザード比は1.30、1.53と1.97、最終的なハザード比は2.38、6.95と24.0、傾向検定でp<0.001)。
つまり軽度の糖尿病患者と重症の糖尿病患者を比較した場合、重症患者で認知症リスクが高く、また研究期間により大きく症状が進行した患者において、認知症リスクの増加が認められました。
著者らは、「糖尿病の重篤度と進行が認知症リスクを反映し、初期でのaDCSI変化は、新たに糖尿病を発症した患者の認知症リスクを予言しえた」と述べています。
糖尿病になると認知症を促進する物質が増えたりするのか、糖尿病になった状態では運動能力が低くなるなどで認知症になりやすいのか等、実際の原因究明には更なる調査が必要に思われます。いずれにせよ認知症リスクに関し、糖尿病患者の看護をしている方も注意が必要ではないかと感じました。
執筆者
Progress of Diabetic Severity and Risk of Dementia.
J Clin Endocrinol Metab. 2015 Jul 9
[PMID: 26158608] http://press.endocrine.org/doi/10.1210/jc.2015-1677※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。