2015.07.21 | ニュース

脳卒中のときは眼底検査に違いが出る?脳血管疾患、一過性脳虚血発作との関連

アメリカ257人の横断研究

from Neurology

脳卒中のときは眼底検査に違いが出る?脳血管疾患、一過性脳虚血発作との関連の写真

脳卒中の治療は一刻を争いますが、診断は簡単ではありません。アメリカで脳卒中が疑われた救急患者の検査結果を統計解析したところ、眼底検査で見られた網膜の血管の異常と、脳卒中などの脳の血管の異常との間に相関関係が見られました。

◆救急患者の情報を解析

研究班は、救急患者257人の検査結果と、確定した診断の情報を集め、年齢など脳卒中のリスクに強く関わると思われる要因を調整したうえ統計解析を行いました。

 

◆網膜の細動脈の変化に関連あり

解析から次の結果が得られました。

ABCD2スコアと拡散強調画像の所見で調整した上で、臨床的に診断された脳血管疾患のオッズは局所的細動脈狭細によって5.5倍、全般的細動脈狭細によって2.6倍増加した。これらの眼底所見は、ABCD2スコアを調整した上であっても、一過性脳虚血発作と脳血管疾患以外を有意に鑑別した。

眼底検査で網膜の細かい動脈が狭くなる変化が見られたとき、脳卒中、一過性脳虚血発作など脳の血管の異常がある割合が大きくなっていました

この結果から、研究班は「局所的神経学的障害によって救急診療部を受診した患者の評価に無散瞳眼底撮影を含めることは、脳卒中および一過性脳虚血発作をほかの局所的神経学的障害の原因と鑑別する助けになるかもしれない」と結論しています。

 

動脈硬化が全身で進んでいるときは、脳の血管と同時に網膜の血管にもダメージが溜まっているのかもしれません。どんな因果関係が背景にあるにせよ、脳卒中の診断の役に立つ情報は貴重です。実際の現場で、ほかの検査に加えて眼底検査を行うことで診断をより確かに、かつ所要時間を短くすることができるかどうかが知りたいところです。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Ocular fundus photography of patients with focal neurologic deficits in an emergency department.

Neurology. 2015 Jun 24 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26109710]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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