◆50歳以上で入院中に骨折した認知症患者が対象
研究班は、日本の全国的な入院患者のデータベースを参照して、2012年4月から2013年3月までに入院した50歳以上の認知症患者について、入院中の骨折と睡眠薬使用の関連を統計解析しました。
◆睡眠薬使用と骨折に関連あり
解析から次の結果が得られました。
年齢、性別と病院によって1:4にマッチングした結果、817人の入院中に骨折した患者と、3,158人の入院中骨折のない対照患者が選ばれた。Charlson comorbidity index、緊急入院、ADL、水平歩行スコアで調整したのち、短時間作用型ベンゾジアゼピン系睡眠薬(オッズ比1.43、95%信頼区間1.19-1.73、P<0.001)、超短時間作用型非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(オッズ比1.66、1.37-2.01、P<0.001)、ヒドロキシジン(オッズ比1.45、1.15-1.82、P=0.001)、リスペリドンとペロスピロン(オッズ比1.37、1.08-1.73、P=0.010)の使用時に骨折の発生がより高率に見られた。
睡眠薬のうち、短時間作用型ベンゾジアゼピン系睡眠薬、超短時間作用型非ベンゾジアゼピン系睡眠薬という種類のものを使っていた場合に、骨折が多くなっていました。また、精神症状に対して使われるヒドロキシジン、またリスペリドンとペロスピロンの使用にも骨折との関連が見られました。
研究班は「短時間作用性ベンゾジアゼピン系睡眠薬と超短時間作用型非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は入院中の認知症患者において骨折のリスクを増加させるかもしれない」と結論しています。
認知症がある人、特に高齢の人では転倒や骨折が寝たきりなど深刻な状態に直結することもあり、注意が必要です。
なお、睡眠薬の使用について、ほかの記事にも情報があります。関心のある方はあわせてご覧ください。
「高齢者の不眠を解消するには!?」
http://medley.life/news/item/558770a1ab73614e014bb01c
執筆者
Hypnotics and the Occurrence of Bone Fractures in Hospitalized Dementia Patients: A Matched Case-Control Study Using a National Inpatient Database.
PLoS One. 2015 Jun 10
[PMID: 26061231]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。