◆既報の研究報告から推定
著者らは以下の方法で推定を行いました。
食べる速さに基づいた分類に対して、肥満についての指標を定量的に推定した既報の研究を探すために、MEDLINE、EMBASEおよびCINAHLの包括的な検索を実施した。介入研究または子供を対象にしている研究は除外した。
つまり論文データベースを使用して目的とする内容の論文を抽出し、その結果をまとめて食べる速さと肥満に関連が見られるかどうか調べました。観察に加え何か指示(あるいは処方)している介入研究や子供を対象にした調査は除外しています。
◆早食いの人はBMIが1.78高い!
以下の調査結果が得られました。
23の既報研究のデータが適格であった。速く食べる人と遅く食べる人の間で、BMI差の平均値は1.78kg m-2であった(95%信頼区間 1.53から2.04kg m-2)。早食いの人が肥満であるオッズ比は、2.15であった(95%信頼区間 1.84から2.51)。
つまり早食いの人はゆっくり食べる人より、BMI(体重÷身長の2乗、22前後が標準的)が平均して1.78高い結果となりました。また、早食いの人の中では肥満である人の割合が大きくなっていました。
著者らは、「早食いと体重超過は正の相関関係にある。食べる速さを遅くすると体重調節に効果的かを決めるための、更なる研究が望ましい」と述べています。
早食いに関わらず痩せている人も見受けますが、中には影でたゆまぬ努力を続けている人や、太りにくい体質の人もいるのかもしれません。全体としては早食いの人は体重が重い傾向があるようです。
早食いの人に多い生活習慣が全体として太りやすい要素を含んでいたのかもしれませんし、体質の違いがあるとすれば摂食に関するホルモン調節の関係もありそうで、詳しいメカニズムは更なる研究が必要でしょう。
執筆者
Association between eating rate and obesity: a systematic review and meta-analysis.
Int J Obes (Lond). 2015 May 25
[PMID: 26100137] http://www.nature.com/ijo/journal/vaop/ncurrent/full/ijo201596a.html※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。