◆ヘルパンギーナ、手足口病で入院した子どもが対象
研究班は次のようにデータの解析を行いました。
2008年1月から2012年12月までにヘルパンギーナまたは手足口病で入院した子どもの診療記録を後ろ向きに検証した。
ヘルパンギーナ、手足口病で入院した子どもの記録から得た情報を統計解析しました。特に「CRP」という検査値が高かった子どもについて、入院直後に抗菌薬を使った場合と使わなかった場合の比較を行いました。
CRPは全身の炎症反応を反映する検査値で、大まかにウイルス感染よりも細菌感染で高くなる場合が多いと言われています。
◆抗菌薬を使った場合は入院期間が長い
解析から次の結果が得られました。
3,566人の症例が同定された。[...]比較的高い水準のCRPと抗菌薬が処方された割合には線形のトレンドがあった(P=0.001)。[...]抗菌薬を処方されたサブグループでは比較的長い入院期間が記録されていた(P=0.020)。
CRPが高いときに抗菌薬が処方される場合が多い傾向がありました。また、CRPが高かった子どもの中では、抗菌薬が処方された子どもは入院期間が長くなっていました。
研究班は「この研究は、抗菌薬がこれらの患者の治療においては、CRPの水準が高い患者に限っても、有益でないかもしれないと示した」と結論しています。
抗菌薬を使うことで治りを早くしたりする効果は確かめられませんでした。やはりウイルス感染に抗菌薬は効かないという基本が大事なのかもしれません。
ただし、入院期間が長かったことについては、抗菌薬が有害に働いたためとは断定できません。たとえば入院時点で実際に細菌感染が一緒に起こっていて比較的状態の悪い子どもに抗菌薬が使われていたとすれば、抗菌薬を使った子どもの入院期間が長くなることも考えられます。
病院でもらった薬にどんな目的があるのか気になるときは、医師や薬剤師に質問してみてください。
執筆者
Are antibiotics beneficial to children suffering from enterovirus infection complicated with a high C-reactive protein level?
Int J Infect Dis. 2014 Aug
[PMID: 24943410]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。