ナッツを食べる人は死亡率が低かったが、例外もあった

ナッツを多く食べる人には、統計的に健康上の良い傾向が見られることがあり、食習慣と健康の関係を調べる研究ではしばしばナッツが注目されます。オランダの人の死亡率を解析した研究から、ナッツを多く食べる人ほど全体として死亡率が低い、ただしピーナッツバターと死亡率には関連がない、という結果が報告されました。
◆オランダ12万人のデータから
研究班は、1986年に生活習慣と食習慣を答えた55歳から69歳の人約12万人を追跡した研究の結果から、その後1996年までに死亡した8,823人と、ナッツの摂取量など詳しい情報が得られた3,202人を含むデータを使い、統計解析を行いました。
◆ナッツを多く食べるほど死亡率が低い、ただしピーナッツバターは除く
解析から次の結果が得られました。
全ナッツ摂取量は男女ともに、全死因死亡率と死因
特異的 死亡率(がん 、糖尿病、心血管疾患 、呼吸器疾患、神経変性 疾患、その他の原因)の減少と関連していた。ナッツをまったく食べない人と比べて、ナッツを食べる人の全死因死亡率のハザード比は1日あたりのナッツの消費量が0.1gから5gのとき0.88、5gから10gのとき0.74、10g以上のとき0.77(95%信頼区間0.66から0.89)だった(トレンドに対してP=0.003)。ピーナッツと木になるナッツは死亡率と負の
相関 があったが、ピーナッツバターは関連がなかった。
ナッツを多く食べる人ほど死亡率が低く、死因別に見ると、ナッツを多く食べる人ではがん、糖尿病、心血管疾患、呼吸器疾患、神経変性疾患などによる死亡が少なくなっていました。ピーナッツバターは死亡率と関連が見られませんでした。
食習慣と健康の因果関係を証明するのは非常に難しいことです。この研究でも、もともと病気になりにくい背景を持っている人がナッツを好む傾向があったという可能性は否定できません。とはいえ、ピーナッツバターとナッツの間に違いがあったことなどは何かの参考になるかもしれません。
なお、ナッツと健康の関係に関心のある方は、この記事もあわせてご覧ください。
「一番血圧を下げるナッツはどれ?」
執筆者
Relationship of tree nut, peanut and peanut butter intake with total and cause-specific mortality: a cohort study and meta-analysis.
Int J Epidemiol. 2015 Jun 11 [Epub ahead of print]
[PMID: 26066329]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。