子宮頚がんのワクチン、注射は3回も打たなくてよい?
子宮頚がんを予防するために、原因のヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンが使われます。十分な予防効果を出すためには3回の注射が必要と言われていますが、注射の回数を減らしても効果があるという説もあります。これまでにHPVワクチンの効果を調べた研究のデータを改めて解析し、注射の回数による違いを検証した研究から、1回の注射でも3回の注射と同程度の効果が見られたことが報告されました。
◆HPVワクチンについて
◆2件の研究データから改めて解析
研究班は、過去に行われた2件の研究のデータを統合して解析しました。ここで参照された研究は、それぞれ若い女性を対象としてHPVワクチンを接種し、効果を確かめたものです。得られたデータの中には、注射の回数が3回だった人、2回だった人、1回だった人の情報が含まれていました。研究班は注射の回数ごとに結果を比較して、4年後までに1回でもHPV16型または18型の感染が見つかる頻度に違いがあるかを調べました。
◆1回の注射で85.7%予防
解析から以下の結果が得られました。
HPV-16/18の感染発生に対するワクチンの効果は、3回の注射によって予防率77.0%(95%信頼区間74.7-79.1)、2回の注射によって76.0%(62.0-85.3)、1回の注射によって85.7%(70.7-93.7)だった。
HPV-16/18の感染発生に対するワクチンの効果は、2回の注射を受けた女性のうちで、1回目の注射から1か月後に2回目の注射を受けた人では予防率75.3%(54.2-87.5)、6か月後に2回目の注射を受けた人では82.6%(42.3-96.1)だった(CVTのデータだけを参照)。
ワクチンによってHPVの感染を減らした予防率は、1回の注射で85.7%、2回の注射で76.0%、3回の注射で77.0%となり、統計的には違いが認められませんでした。2回の注射を受けた人のうちで、1回目の注射と2回目の注射の間隔が1か月だった人では予防率が75.3%、6か月だった人では82.6%でした。
研究班は「これらのデータはHPV-16/18ワクチン1回接種の有効性を直接検証することを支持する根拠となる」と述べています。
注射が少ない回数で、特に1回で効果を出すことができれば、予防接種を受ける人の負担を減らすことにつながります。国や地域によって、ワクチンが使える施設にアクセスしにくい場合などには特に、この点が重要になるかもしれません。
執筆者
Efficacy of fewer than three doses of an HPV-16/18 AS04-adjuvanted vaccine: combined analysis of data from the Costa Rica Vaccine and PATRICIA trials.
Lancet Oncol. 2015 Jun 9 [Epub ahead of print]
[PMID: 26071347 ]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。