マイコプラズマ肺炎の36%が耐性菌によるものだった

健康な人にもしばしば肺炎を起こす細菌のマイコプラズマは、主にマクロライド系抗菌薬などで治療されますが、ほかの細菌と同様、特定の抗菌薬(抗生物質)が効かなくなった耐性菌が現れて問題になっています。タイで実際の患者から見つかったマイコプラズマの耐性を調べたところ、36%もの割合でマクロライド系抗菌薬に耐性があったことが報告されました。
◆感染症患者から見つかった菌を遺伝子解析
研究班は次のように、研究対象とするマイコプラズマを集めました。
2012年2月から2013年1月の間に、気道
感染症 の患者420人から、real-time PCRアッセイによって44のマイコプラズマ・ニューモニエ株が分離された。
気管や肺の感染症を起こした患者から見つかったマイコプラズマ44株を対象とし、遺伝子解析によって薬剤
◆36.4%が耐性菌
次の結果が得られました。
44の臨床的に分離された株のうち、16株(36.4%)はマクロライド耐性だった。
マクロライド耐性マイコプラズマ・ニューモニエに感染した患者が入院する割合は62.5%だった。
調べたマイコプラズマのうち、36.4%がマクロライド系
マイコプラズマ治療の主な薬と言われるマクロライド系抗菌薬が3分の1も効かないとすれば、治療方針に大きく影響するかもしれません。タイの調査がそのまま日本に当てはまるとは限りませんが、日本でも耐性菌はあちこちで見つかっては問題になっています。広がってしまった耐性菌の対策を進めるとともに、耐性菌を生み出さないためにも抗菌薬を正しく使うことが、医師にも患者にも求められます。
執筆者
Emerging macrolide-resistant mycoplasma pneumoniae in Thailand.
Eur Respir J. 2014 Sep
http://erj.ersjournals.com/content/44/Suppl_58/P2493.abstract?sid=6b5cd216-ee73-44ba-9c76-eace13b66c5d#
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