2015.06.02 | ニュース

子ども時代の運動量がADHDの不注意・多動性の症状にプラスとなる?

スウェーデン、ふたご232組の調査研究
from Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry
子ども時代の運動量がADHDの不注意・多動性の症状にプラスとなる?の写真
(C) Ljupco Smokovski - Fotolia.com

運動が注意欠如・多動性障害(ADHD)に良い影響を与える、という説があります。ADHDの原因や詳しいしくみはわかっていませんが、過去の研究では運動とADHDの症状に関連が指摘されています。スウェーデンの研究班が、ふたごを比較する方法でより正確に関連を探った研究の結果、運動量が多い患者には数年後の症状に良い影響が見られたことを報告しました。

◆スウェーデンの232組のふたごの情報を統計解析

研究班は、スウェーデンで生まれた一卵性双生児232組を対象として、16歳から17歳のときの運動量と、19歳から20歳のときのADHDの症状の重さの関連を調べました。運動量と症状の重さは質問票で聞き取った内容に従って決めました。

一卵性双生児は遺伝子と環境の要因がほぼ同じと考えられます。このため、多数の一卵性双生児の間で平均して結果に違いがあった場合、原因として考えられた要因以外に未知の要因が関わる可能性は比較的小さいと考えられます。

 

◆運動量が多いほうが19~20歳でADHDの症状が軽い傾向

統計解析から次の結果が得られました。

思春期に週当たりのエネルギー消費量が多いことは、成人早期にADHDの症状のより軽い水準と関連していた。計測されていない交絡因子(すべての遺伝的および環境的要因は一卵性双生児の間で共有される)、およびベースラインのADHDの症状とBMIを除いた上でもこの関連が見られた(β=-0.21、p=0.013 [95%信頼区間-0.38から-0.05])。

16歳から17歳で多く運動していると、19歳から20歳でADHDの症状が比較的軽い傾向がありました

この傾向は16歳から17歳時点でのADHDの症状、またBMI(体重÷身長の2乗)を計算に入れても同様に見られました。すなわち、もともとADHDの症状が軽いほうがよく運動ができるという関連や、体格によって運動量とADHDの症状が変わるという関連によっては説明されないことが確かめられました。

研究班は「この結果は思春期の身体運動が成人早期のADHDの症状を軽減する可能性を示唆する」と述べています。

 

ADHDを治すほどではないとはいえ、病気を改善する方向の結果が出ていることには、少し前向きな気持ちが湧いてくるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Is Physical Activity Causally Associated With Symptoms of Attention-Deficit/ Hyperactivity Disorder?

J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2015 May 5 [Epub ahead of print]

[PMID: 26088661 ]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。