2015.06.02 | ニュース

危険な不整脈、ある抗生物質を使った後ではなぜか少なかった

メイヨー・クリニックでのレボフロキサシン使用例から

from Mayo Clinic proceedings

危険な不整脈、ある抗生物質を使った後ではなぜか少なかったの写真

死亡につながる恐れがある不整脈に、心室頻拍などがあります。心電図に「QTc延長」という特徴が現れた後に起こりやすいと言われていますが、QTc延長があっても、同時にレボフロキサシンという抗菌薬(抗生物質)を使っていた人では心室頻拍が少なかった、という不思議な関連が、アメリカのメイヨー・クリニックの研究班から報告されました。レボフロキサシンを不整脈の治療に使えるのでは、という考えが提示されています。

◆QTc延長がある人千人のデータを調査

研究班は、メイヨー・クリニックに入院中、QTc延長が見つかった人1,004人の診療データから、レボフロキサシンを使ったかどうかと、心室頻拍の起こりやすさに関連があるかどうかを調べました。

 

◆心室頻拍は「2人だけ」

調査の結果、次のことが見つかりました。

レボフロキサシンの使用開始から退院または死亡まで、中央値4日(レンジ1日から94日)の期間中に、レボフロキサシン使用開始後に持続する心室頻拍を起こした患者は2人(0.2%、95%信頼区間0.0%-0.7%)だけだった。

レボフロキサシンを使った人のうち、退院までに心室頻拍を起こした人は、QTc延長があるにもかかわらず1,004人中2人というわずかな割合でした。

研究班は「この結果はレボフロキサシンがQTc延長のある患者に対する安全な選択肢となる可能性を示唆している」と結論しています。

 

薬には副作用が出ることもあれば、もともとの狙いと違うところで効果が出ることもあり、その中から新しい使い方が発見されることもあります。医師の方は、レボフロキサシンを使った後に心室頻拍が少ないと思ったことがありますか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Rare Incidence of Ventricular Tachycardia and Torsades de Pointes in Hospitalized Patients With Prolonged QT Who Later Received Levofloxacin: A Retrospective Study.

Mayo Clin Proc. 2015 May

[PMID: 25863416]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る