◆バレット食道の背景を調査
研究班は、次のように情報を集めました。
174人のバレット食道がある男性と、バレット食道がない213人の男性(対照群、内視鏡による検査から)血液検体を回収した。13種類の性ステロイドホルモンが質量分析法で計測され、性ホルモン結合グロブリンがELISA法で計測された。
バレット食道がある男性174人と、バレット食道がない男性213人に血液検査を行い、男性ホルモン、女性ホルモンの量に違いがあるかを調べました。
◆男性ホルモンが多く、女性ホルモンが少ない
得られたデータを統計解析した結果、以下の関連が見つかりました。
バレット食道のリスクと遊離テストステロン(オッズ比5.36、95%信頼区間2.21-13.03、P =0.0002)、遊離ジヒドロテストステロン(オッズ比4.25、95%信頼区間1.87-9.66、P = 0.001)に正の相関があった。これらの濃度が上位1/4の患者にバレット食道が最も多かった。硫酸エストロン濃度はバレット食道のリスクと負の相関があった(トレンドに対してP=0.02)。
バレット食道がある人には男性ホルモンが多い傾向があり、女性ホルモンは少ない傾向がありました。
性ホルモンがバレット食道に関わっているのだとすると、そのしくみがわかれば、バレット食道を防ぐ治療のヒントになるかもしれません。ただし、バレット食道とがんの関係ははっきりとは解明されておらず、日本と欧米で傾向が違うという指摘もあります。食道がんについて調べるべきことはまだまだ山積みです。更なる研究に期待しましょう。
執筆者
Association between circulating levels of sex steroid hormones and Barrett's esophagus in men: a case-control analysis.
Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Apr
[PMID: 25158929 ]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。