2015.06.01 | ニュース

バレット食道に男性ホルモンが関係している?

アメリカ400人の調査から

from Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association

バレット食道に男性ホルモンが関係している?の写真

逆流性食道炎が原因で、食道の壁が変化して「バレット食道」という状態になることがあります。バレット食道は食道がんの発症に関係していると考えられていますが、詳しい仕組みはわかっていません。また、女性よりも男性にバレット食道が多いことが知られています。アメリカでバレット食道がある人を対象に行われた調査から、男性の中でも男性ホルモンが多い人にバレット食道が多かったことが報告されました。

◆バレット食道の背景を調査

研究班は、次のように情報を集めました。

174人のバレット食道がある男性と、バレット食道がない213人の男性(対照群、内視鏡による検査から)血液検体を回収した。13種類の性ステロイドホルモンが質量分析法で計測され、性ホルモン結合グロブリンがELISA法で計測された。

バレット食道がある男性174人と、バレット食道がない男性213人に血液検査を行い、男性ホルモン、女性ホルモンの量に違いがあるかを調べました。

 

◆男性ホルモンが多く、女性ホルモンが少ない

得られたデータを統計解析した結果、以下の関連が見つかりました。

バレット食道のリスクと遊離テストステロン(オッズ比5.36、95%信頼区間2.21-13.03、P =0.0002)、遊離ジヒドロテストステロン(オッズ比4.25、95%信頼区間1.87-9.66、P = 0.001)に正の相関があった。これらの濃度が上位1/4の患者にバレット食道が最も多かった。硫酸エストロン濃度はバレット食道のリスクと負の相関があった(トレンドに対してP=0.02)。

バレット食道がある人には男性ホルモンが多い傾向があり、女性ホルモンは少ない傾向がありました。

 

性ホルモンがバレット食道に関わっているのだとすると、そのしくみがわかれば、バレット食道を防ぐ治療のヒントになるかもしれません。ただし、バレット食道とがんの関係ははっきりとは解明されておらず、日本と欧米で傾向が違うという指摘もあります。食道がんについて調べるべきことはまだまだ山積みです。更なる研究に期待しましょう。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Association between circulating levels of sex steroid hormones and Barrett's esophagus in men: a case-control analysis.

Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Apr

[PMID: 25158929 ]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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