側弯症の新たな治療法?運動療法の効果を検証
側弯症は、背骨が曲がってしまう病気です。重症の場合は手術が必要になります。手術をしないで済むようにするため、装具を使う治療も行われます。ほかの治療法は標準的ではありませんが、「シュロス法」という運動療法が考案されています。トルコでシュロス法の効果を調べる研究が行われ、理学療法士の監督のもとシュロス法を行うと、曲がりを小さくする効果があったことが報告されました。
◆45人をランダム化
研究班は、45人の思春期にあたる側弯症の患者を対象として、次の3つのグループにランダムに振り分けました。
- シュロス法を
理学療法 士の監督のもと行うグループ - シュロス法を家庭用のプログラムとして指導されるグループ
- 何もしないグループ
それぞれのグループについて、治療の前後に体の曲がり具合を測り、また生活の質(
◆QOLを変えず改善あり
治療の結果は以下のとおりでした。
コブ角(-2.53°、P=0.003)、回旋角度(-4.23°、P=0.000)は理学療法士の監督のもとシュロス法を行ったグループでほかのグループよりも
有意 に減少し、改善を示した。猫背(-68.66mm; P=0.000)、腰の非対称性は理学療法士の監督のもとシュロス法を行ったグループでだけ改善し、ほかの2グループでは悪化した。QOLはどのグループでも有意差がなかった。
体の曲がりは理学療法士の監督のもとシュロス法を行ったグループで最もよく改善し、どのグループでもQOLには違いがありませんでした。
側弯症に対する運動療法は現在標準的ではなく、この研究は新しい選択肢を加えようとするものです。もし装具の必要もない治療法が確立されれば、より好まれる場合があるかもしれません。整形外科の医師の方や理学療法士の方は、側弯症の治療にどんなことを期待されますか?
執筆者
The efficacy of three-dimensional Schroth exercises in adolescent idiopathic scoliosis: A randomised controlled clinical trial.
Clin Rehabil. 2015 Mar 16
[PMID: 25780260]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。