◆リスクの高い子どもを追跡調査
著者らは以下の方法で、糖尿病の発症を調べました。
このTEDDY研究では8,503人の自己免疫性糖尿病の遺伝的リスクの高い小児を観察した。
研究の対象者は、遺伝的に1型糖尿病になりやすいと予想された子ども8,503人でした。著者らは対象者を追跡調査し、1型糖尿病を発症するかどうか、また自己抗体がずっと作られ続けているかを調べました。
◆ 抗体の数が多いことなどが関連あり
調査の結果は以下のとおりでした。
生命表解析により、最初の自己抗体出現後5年間の糖尿病累積罹患率は陽性の自己抗体の数により差が出ることが判明(3種47%, 2種36%, 1種11%, p<0.001)。一親等のステータスで調整した時間依存性生存モデルでは、自己抗体の数、最初に持続性の自己抗体が確認された年齢、HLAジェノタイプ、IA抗体およびIA-2抗体の平均値が高いことが、持続的に自己抗体陽性の小児において、1型糖尿病のリスク上昇と関連していた(IA抗体: ハザード比 [HR] 8.1 [95%信頼区間 4.6-14.2]; IA-2抗体: HR 7.4 [95%信頼区間 4.3-12.6]; P < 0.0001)。
糖尿病になりやすかった要因として、
- 複数の自己抗体が作られている場合、自己抗体の種類が多い
- 自己抗体のうち「IA抗体」「IA-2抗体」という2種類のものが持続的に作られている
- 免疫に関わる「HLA」という遺伝子が特定のタイプである
などの関連が見つかりました。
これらの関連がもっと確かめられれば、子どもが将来1型糖尿病にかかる恐れがどの程度あるのか、より正確に予測できるようになるかもしれません。
また、これらの要因が、1型糖尿病が発症するメカニズムに関わっていることも考えられます。今後のさらに詳しい解明が待たれます。
執筆者
Predictors of Progression From the Appearance of Islet Autoantibodies to Early Childhood Diabetes: The Environmental Determinants of Diabetes in the Young (TEDDY).
Diabetes Care. 2015 May
[PMID: 25665818]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。