◆特定のマウスにだけ糖尿病を起こすウイルス
実験用のマウスのうち、あるタイプのものだけが脳心筋炎ウイルスに感染したときに糖尿病になることがわかっていましたが、発症に関わる遺伝子は特定できていませんでした。
研究班はそのタイプのマウスの遺伝子を詳しく調べました。
◆Tyk2に異常を発見
その結果、脳心筋炎ウイルスの感染から糖尿病を起こすマウスでは、ウイルスに対する免疫反応に関わる、「Tyk2」という遺伝子が突然変異のため機能しなくなっているのを発見しました。
膵臓のホルモンを作る細胞は、Tyk2遺伝子に突然変異があると、免疫を促すインターフェロンを大量に与えられてもウイルスに抵抗できず、感染に弱いことがわかりました。
研究班は、ホルモンを作る細胞にだけTyk2遺伝子を導入すれば、感染によって糖尿病が起こるのを防げるのではないかとしています。この研究がウイルス感染の治療の未来を変えるかもしれません。
執筆者
Reduced Tyk2 gene expression in β-cells due to natural mutation determines susceptibility to virus-induced diabetes.,
Nat Commun., 2015 Apr 7
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