食物繊維で肥満解消

減量は様々な生活習慣病の治療において重要な治療法の1つです。どのような食事を取るのがよいのか、ガイドラインが定められている場合もあります。著者らは今回、メタボリックシンドローム患者を対象に、食物繊維を多く摂取する方法と、アメリカ心臓協会(AHA)が勧める総合的な食事改善を比較した場合、同程度に減量効果があったことを報告しました。
◆メタボリックシンドローム患者を対象に、2種類の食事の効果を調べた
著者らは「食物繊維の消費を増やした食事と、AHA
研究デザイン:2009年6月から2014年1月までの無作為比較対照試験
研究を行った場所:マサチューセッツ州のウースター
対象者:240人の成人のメタボリックシンドローム患者
参加者は食物繊維を増やした食事を食べるグループか、AHAのガイドラインに沿った食事を食べるグループにランダムに振り分けられ、12か月間食事療法を受けました。
◆食物繊維を沢山食べるだけでも効果がある
著者らは以下の結果を導きました。
12ヶ月後、高食物繊維を摂食したグループの体重の平均変化は-2.1kg(95%信頼区間 -2.9から-1.3kg)であり、AHA食のグループは-2.7kgであった(95%信頼区間 -3.5kg から-2.0kg)。グループ間の差は平均0.6kgである(95%信頼区間 -0.5から1.7kg)。
食物繊維を増やした食事のグループでも、AHA食のグループでも、同程度に体重減少の効果があったという結果でした。
この結果を受けて筆者らは、「より複雑なAHA食の方が、最大1.7kg多く体重減少をもたらした可能性がある。しかしながら食物繊維を多く取ることだけに重点を置いて体重を減らす単純化された方法は、より複雑な食事計画の実行が難しい人達には、合理的な代替案になりうる」と述べています。
野菜に多く含まれる食物線維を食べれば減量するのは当たり前かもしれませんが、アメリカ心臓学会が推奨している食事と同等の効果が出たというのは面白いですね。もちろん、どれだけ「健康に」減量できたのかという点も重要ではありますが、ずっと病院が管理出来る訳でもないので、シンプルに野菜を多く摂るといったような簡単な方法のほうが、受け入れやすいかも知れません。
執筆者
Single-component versus multicomponent dietary goals for the metabolic syndrome: a randomized trial.
Ann Intern Med. 2015 Feb 17
[PMID: 25686165]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。