2015.05.10 | ニュース

菜食主義者は大腸がんになるリスクが低い!?

米研究チームが77,659名を分析

from JAMA internal medicine

菜食主義者は大腸がんになるリスクが低い!? の写真

赤い肉の食べ過ぎが大腸がんのリスクを高めるという報告を筆頭に、食事とがんの関係はさまざまな報告があります。今回の研究は、野菜摂取とがんの関係を検証するために、菜食主義者と大腸がんの関係を77,659名を対象に分析したところ、「菜食主義者ではない人と比較して菜食主義者では大腸がんのリスクが低い」という結果が報告されました。

◆様々なタイプの菜食主義者を検証

まず、この研究では、以下のように対象を分類しました。

77,659名を対象に食事調査を行い、完全菜食主義者、牛乳と卵は食べる菜食主義者、魚は食べる菜食主義者、時々肉を食べる菜食主義者、非菜食主義者に分類した。

大規模な食事調査を行い、菜食主義者のなかでもいくつかの種類に分けたようです。

さらに、その後「5年間の追跡により、それぞれのタイプの菜食主義者と非菜食主義者の大腸がんリスクを比較」という方法で検証しています。

 

◆最も大腸がんリスクが低いのは魚を食べる菜食主義者

調査の結果、以下のことがわかりました。

非菜食主義者と比べて最も大腸がんリスクが低かったのは、“魚を食べる菜食主義者”で、大腸がんのリスクは43%低かった。

次いで非菜食主義者との差が大きかったのは“牛乳と卵を食べる菜食主義者”(18%)、“完全菜食主義者”(16%)、“時々肉を食べる菜食主義者”(8%)であった。

菜食主義者全体と非菜食主義者を比べると、菜食主義者全体で22%低かった。

以上のことから、非菜食主義者と比べて、菜食主義者では大腸がんリスクが低く、特に魚を食べる菜食主義者が最もその程度が低いことが判明しました。

食事と健康は切っても切り離せないものですが、今回の研究では、健康に良いというイメージがある野菜に注目し、大腸がんとの関係性を検証していました。追跡研究を行っていますので、因果関係も決して弱いものではないと思います。この結果を受け、筆者らは、「これらの因果関係が判明すれば、大腸がんの1次予防において重要な情報になるかもしれない」と述べています。

 

完全菜食主義者よりも、魚を食べる菜食主義者の方が大腸がんリスクがかなり低い結果でした。健康を気にして食生活を管理することは大事ですが、どんなに身体に良さそうな食べ物でも、偏って摂ることは効果を少なくするひとつの原因となってしまうのかもしれません。

執筆者

MT

参考文献

Vegetarian Dietary Patterns and the Risk of Colorectal Cancers.

JAMA Intern Med. 2015 Mar 9

[PMID: 25751512]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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