2015.05.09 | ニュース

マンモグラフィーに意味はあったのか

カナダで9万人を25年間フォロー
from BMJ (Clinical research ed.)
マンモグラフィーに意味はあったのかの写真
(C) Sven Bähren - Fotolia.com

マンモグラフィーは乳がんを早期発見する狙いで広く行われています。しかし、発見されたがんを治療しても余命はあまり変わらないと思われる場合があります。症状がないときに検査で病気を発見することの意義は、近年しばしば議論されています。そんな中、マンモグラフィーにはどの程度の効果があるのかをカナダの患者のデータベースから分析した結果、「乳がんによる死亡を減らせていなかった」という報告がなされました。

9万人をランダムに振り分け

研究チームは、以下の方法で、毎年マンモグラフィの検査をすることの効果を調べました。

研究のための情報は、「1980年から1985年にかけて、カナダの6の州にある、15か所のスクリーニング施設」で集められました。

スクリーニングとは病気を見つけ出す検査のことで、ここでは乳がんを見つけ出すためにマンモグラフィを使うことを指しています。

研究参加者は、

40歳から59歳の89,835人の女性で、5年間毎年マンモグラフィによるスクリーニングを受けるマンモグラフィ群と、マンモグラフィをまったく使わない対照群にランダムに振り分けられた。

参加者はマンモグラフィによるスクリーニングに加えて、以下のケアを受けました。

マンモグラフィ群のうち40歳から49歳の参加者と、50歳から59歳のすべての参加者は年に1度、乳房の身体診察を受けた。

対照群のうち40歳から49歳の参加者は、1度だけ身体診察を受けたあと、地域で行われている通常の乳がんのケアを受けた。

 

死亡率に差がなかった

調査報告によると、結果は以下のとおりでした。

5年の検査期間中、マンモグラフィ群44,925人から666件、対照群44,910人から524件の浸潤性乳がんが診断された。

そのうち検査後25年のフォロー期間中に乳がんで死亡した人は、マンモグラフィを使うグループで180人、使わないグループで171人だった。

ということで、検査期間中に診断された乳がんによる死亡率には統計的に有意な差がありませんでした。

さらに、研究中に乳がんと診断された人についても、研究チームは調査を進めました。

全研究期間中に乳がんと診断された人はマンモグラフィ群で3,250人、対照群で3,133人で、そのうち乳がんによる死亡は前者が500人、後者が505人だった。

このように、全研究期間にわたって累積した乳がんによる死亡率は、統計的に有意な差がなかった。

つまり、マンモグラフィを5年間毎年行ったか、行わなかったかによって、25年後の乳がんによる死亡率は変わっていませんでした。

研究チームは「40歳から59歳の女性に毎年マンモグラフィを使っても、身体診察または通常のケアの効果に加えて乳がんによる死亡率を改善することはできない」と結論しています。

検診におけるマンモグラフィの意義に一石を投じたこの研究。乳がんを診療されている医師の方にはどう映るでしょうか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Twenty five year follow-up for breast cancer incidence and mortality of the Canadian National Breast Screening Study: randomised screening trial.

BMJ. 2014 Feb 11

[PMID: 24519768]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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