2015.05.09 | ニュース

子どもの頃の精神的なストレスは1型糖尿病のリスクを増大させる?

10,495名の幼児とその両親を調査

from Diabetologia

子どもの頃の精神的なストレスは1型糖尿病のリスクを増大させる?の写真

1型糖尿病は、生活習慣ではなくウイルス感染などをきっかけに起こると考えられている糖尿病の1種で、小児から若年者に多いと言われています。 今回、研究チームは幼児の頃に精神的なストレスを経験すると1型糖尿病の発症リスクが約3倍増大する可能性があることを報告しました。

◆10,495名の幼児とその両親を調査

スウェーデンで1997年から1999年に生まれた乳幼児のデータベースから、登録時に1型糖尿病と診断されていない幼児10,495名(年齢2歳から13歳まで)を調査しました。
2012年時点で1型糖尿病と診断された子どもは58名でした。
全10,495名の幼児の両親に、深刻な人生の出来事の有無や育児のストレス、心配事、社会的サポートなどを評価できる質問票を用いて家庭の心理的ストレスを測定し、その結果とその家庭の子供の1型糖尿病の発症との関係を分析しました。

 

◆子どもの頃に精神的なストレスを経験すると発症リスクが約3倍に!

1型糖尿病の遺伝的素因や登録時の年齢を調整して解析した結果、子どもの頃に深刻な出来事を経験した人は経験していない人に比べ、1型糖尿病と診断されるリスクが3.0倍高い結果を示しました。
この傾向は、2型糖尿病の遺伝的素因や胎児期の成長の良し悪しや肥満度合い、家族の教育水準、生まれる前の母の勤務状況、さらにBMIの効果を除いたあとでも統計的に有意に認められました。

研究チームは「子どもの頃の深刻な出来事の経験は、1型糖尿病のリスク要因になるかもしれない」と考察しています。

 

子どものころに精神的なストレスを経験すると1型糖尿病を引き起こす可能性があるようです。
皆さんはこの結果どのように感じられるでしょうか?

執筆者

佐々木 康治

参考文献

Experience of a serious life event increases the risk for childhood type 1 diabetes: the ABIS population-based prospective cohort study.

Diabetologia. 2015 Apr 14

[PMID: 25870022]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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