甲状腺がんの治療に新薬登場

甲状腺がんの治療には手術や放射線療法のほか、抗がん剤を使った化学療法が使われることがあります。甲状腺がんの新薬の試験にヨーロッパ、アジアほか多国籍の研究チームが協力して、有効性が確認できたという報告が出ました。
◆従来治療の効果が出にくい場合が対象
新薬のレンバチニブは、甲状腺がんのうち、放射性ヨウ素を使った従来の治療で効果が出にくかった場合の治療を目標にして試験されました。
この研究では261の患者がレンバチニブ治療に、131の患者が偽薬に割り当てられました。偽薬グループの患者は、甲状腺がんの進行が見られた場合、試験の途中からレンバチニブ治療を受けられることとしました。
◆進行なく生存できた期間を大幅改善
甲状腺がんの進行がなく生存した期間は、レンバチニブ治療のグループで中央値18.3か月、偽薬グループで3.6か月でした。レンバチニブ治療のグループでは、64.8%に投薬に対する反応がありました。
レンバチニブ治療のグループで40%以上に現れた副作用は高血圧(67.8%)、下痢(59.4%)、疲労感(59.0%)、食欲不振(50.2%)、体重減少(46.4%)、吐き気(41.0%)でした。同グループでは14.2%が副作用により離脱し、試験終了までに20人が死亡、そのうち6人は薬剤に関連していると思われました。
この研究論文が出版されたあと、2015年2月のうちにアメリカで、翌3月には日本でレンバチニブが承認されました。この新薬は甲状腺がんの治療にどのような影響を与えるのでしょうか?
執筆者
Lenvatinib versus placebo in radioiodine-refractory thyroid cancer.
N Engl J Med. 2015 Feb 12
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。