甲状腺がん患者を含む計538名を対象としたケースコントロール試験
ここ近年、様々な病気に対する緑茶や紅茶の効果が研究対象として取り組まれてきました。しかし、お茶が甲状腺がんのような特定疾患に効果があるかどうかといった研究はほとんどありません。
今回の調査では、ギリシア人の甲状腺がん発症率が他国に比べて低いことが着目されています。ハーブティーを飲む習慣と甲状腺疾患の発症にどのような関係があるか調べるために、甲状腺がん患者を含む計538名を対象としたケースコントロール試験が行われました。
調査は、首都アテネに住むギリシア人の甲状腺がん患者113人、良性の甲状腺疾患をもった患者286人、健常対象群138人に対し、直接の事前アンケートに答えてもらうかたちで面談が行われました。
カモミールティーの継続的な摂取は甲状腺疾患に効果あり
調査の結果、カモミールティーの摂取と良性/悪性の甲状腺疾患との間には逆相関関係(P < 0.001)が見られました。週に2〜6回カモミールティーを飲んでいた人々は、甲状腺疾患を発症する率がオッズ比で約70%低く、さらに30年間継続的に飲んできた人々は、約80%も甲状腺がんおよび甲状腺疾患のリスクが減少していました。
同じような効果はセージやマウンテン・ティーを飲んでいた人々にも見られましたが、カモミールティーほど顕著な効果は見られなかったと報告しています。
こうした食品と病気の相関関係に関する報告は多く、今後の研究によってさらに予防のメカニズムなどが明らかになる可能性があります。もしカモミールティーで甲状腺がんを予防できるメカニズムが解明されたら面白いですね。
執筆者
The effect of Greek herbal tea consumption on thyroid cancer: a case-control study.
The European Journal of Public Health. 2015 April 4
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。