◆腎代替療法患者の人数を調査および推定
医学文献データベースなどから腎代替療法を行った患者数を調査しました。また、解析モデルを使用して治療を必要としている人数を推定し、さらに2030年にどのくらいの人数の患者がこの治療法を受けることになるか推定しました。
◆2030年には腎代替療法が必要な患者数は約540万人に
調査の結果、2010年時点で腎代替療法を受けた方は世界中で約260万人に達していることが判明しました。
約490万人から970万人の方が腎臓を必要としている一方で、約220万人の方が治療を受けることができず、死亡している可能性があることが示されました。
この需要と供給の差はアジアやアフリカなどの低所得の国々に多いことがわかりました。
2030年には現状の倍の数である約540万人の方が治療を受ける事になると予測しています。
研究チームは「現状、大多数の方が透析を受けている一方で、治療が受けられず患者も多くいることがわかった。今度相当数の数が増えることから低コストで治療を行うことができるようにすることと、地域単位で慢性腎臓病に対する効果的な予防法を検討する必要がある」と主張している。
慢性腎臓病の原因である糖尿病患者が増加していることもあり、日本において透析患者数は日本透析医学会の報告によると2013年時点で31万人を越しており(http://docs.jsdt.or.jp/overview/)、今後もさらに増加していくことが予想されます。
透析の医療費は1人あたり年間480万円かかるとされており、透析患者数の増加に伴い、世界的に患者および国の経済的負担が増大しています(http://www.zjk.or.jp/kidney-disease/expense/dialysis/index.html)。
増え続けている医療費の問題は国政の喫緊の課題となっています。1人1人が生活習慣の見直しをすることと正しい知識を得ることが重要です。
執筆者
Worldwide access to treatment for end-stage kidney disease: a systematic review.
Lancet. 2015 Mar 11
[PMID: 25777665]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。