「高い薬」と説明するとより治療効果が増す?

「プラセボ効果」とは、本来効果がないはずの治療を与えることによって、実際に治療効果がもたらされる現象のことをいいます。今回、米国の研究チームはパーキンソン病患者に対し、薬の価格の説明を変えることで治療効果が得られたと報告されました。
パーキンソン病患者に対し、プラセボ効果を分析
その際に投与した薬を「高価な薬」と説明する群と、「安価な薬」と説明する群にランダムに分け、プラセボ効果と運動機能および脳機能の関係を分析しました。
運動機能の評価にはパーキンソン病の症状の評価基準(UPDRS)の運動機能スケールを用いました。
高価な薬に治療効果あり
高い薬と説明した方が、安い薬と説明するよりUPDRSの運動能力が良好でした。
また、安い薬と説明した群では高い薬と説明する群に比べ、脳活動は上昇していました。
具体的に上昇していた部位は両側の前・後帯状皮質、左外側感覚運動野、右頭頂葉でした。
プラセボ効果が運動機能を向上させうること、脳機能にも影響を及ぼすことが判明しました。
研究チームは「さらに、説明する順番によっても治療効果が変わるため、このプラセボ効果のメカニズムが分かれば臨床にうまく活かせるかもしれない」と述べています。
薬剤は高いほうが良いという訳ではありませんが、薬の価格を知ることがどのうような影響を身体に与えているのか興味深いところです。現場の皆さんはどのように思われますか?
執筆者
Placebo effect of medication cost in Parkinson disease: a randomized double-blind study.
Neurology. 2015 Feb 24
[PMID: 25632091]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。