「歩く速さ」で心血管疾患の発症を予測できる?
高齢者の筋力や活動が低下している虚弱な状態(フレイルといわれる)が心臓や血管の病気のリスクに関わっていると言われています。 この状態の初期の段階では、回復の余地があると言われており、予防に注目が集まってます。 今回、イタリアの研究チームが心血管疾患(冠動脈疾患など)の発症には虚弱状態が関係しており、その中でも歩行速度の低下が最も相関していること報告しました。
◆高齢者1,567人を調査
虚弱状態や障害を持たない65~96歳の高齢者1,567人を4.4年間追跡調査を行い、虚弱状態と
◆歩行速度が心血管疾患の発症と大きく関係する
追跡調査の結果、551人で心血管疾患の発症が見られました。
それらの症例について調べたところ、調査開始後に虚弱状態にならなかった人と比較して、虚弱状態になった人は心血管疾患の発症リスクを
中でも、活動量が低いこと、疲れやすさ、歩行速度が発症リスクと大きく関係していました。
それに対し、体重の減少や筋力の低下などは発症リスクには
研究チームは「虚弱状態の初期段階における歩行速度の低下が心血管疾患の発症を予測できる因子となりうる。また、歩行速度含め関連する要因に着目して治療を行うことで心血管疾患の発症を防げるのではないか」と主張しています。
「速く歩けば病気が防げる」というわけではない点には注意が必要ですが、歩く速さで病気の発症が予測しうるというのは、興味深い研究ですね。
*このコラムは2020年1月6日にMEDLEY編集部によって加筆修正いたしました。
執筆者
Pre-frailty and risk of cardiovascular disease in elderly men and women: the pro.v.a. Study.
J Am Coll Cardiol. 2015 Mar 17
[PMID: 25766943]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。