◆ALS患者657例の調査を行う
患者データベースから検索したALS患者657例を、手術の既往歴(手術の有無や手術した時期)から以下のグループに分けました。
分類
・グループ1(464名):手術歴なし
・グループ2(111名):ALS発症の3か月以上前に手術を行った
・グループ3(23名):ALS発症前の3か月以内に手術を行った
・グループ4(59名):ALS発症後に手術を行った
発症後3か月ごとに行われた機能評価をもとに、発症した部位と手術した部位の関連性を分析しました。
◆脊髄周囲の手術とALSの症状は関係している
ALSの発症前3か月以内に手術を行ったグループにおいて、ALSの発症部位と手術部位に相関が認められました。
このグループの全23名のうち、脊髄領域に発症した患者15名は全例が脊髄手術を受けており、喉を中心に障害される球麻痺患者8名のうち5名も同様に脊髄手術を受けていました。
また、ALSを発症してから手術を行ったグループ59名のうち、35名(57.6%)が初診時の誤診に起因すると思われる手術が行われていたことが分かりました。
研究チームは、「手術はALSの進行に影響を及ぼしている可能性があるため、不必要な手術を防ぐためにも、慎重にそして正確にALSの診断をすることが重要」と主張しています。
今回のこの研究は症例数の少なさなど不十分な点はありますが、さまざまなことが考えられる内容だと思います。ぜひともALSを診察されたことがある医師の方々に、手術とALSの発症や進行に関してコメント頂けると嬉しいです。
執筆者
Does surgery accelerate progression of amyotrophic lateral sclerosis?
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2014 Jun
[PMID: 23922387]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。