2015.04.22 | ニュース

「輸血の血液は新鮮なほうがよい」は本当か?

2,430例の重症患者を分析
from The New England journal of medicine
「輸血の血液は新鮮なほうがよい」は本当か?の写真
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重症患者の輸血に新鮮な赤血球を用いることで、長期保存げ原因の細胞変性による有害なリスクを最小限に抑え、さらに全身への酸素運搬をしやすくなることでより良い効果があると言われています。しかし、今回カナダの研究グループが新鮮な血液を輸血しても標準の輸血と死亡率は変わらないという報告をしました。

◆2,430例の輸血した重症患者を分析

今回の研究は、2009年3月~2014年5月の期間、カナダとヨーロッパの64施設における成人の重症患者を対象にしています。

患者群を、新鮮な血液(保存期間が8日未満)を輸血する群(1,211例)と標準的に供給される血液を輸血する群(1,219例)にランダムに分け、それぞれの90日経過した時点での死亡率を比較し分析しました。
 

◆新鮮な血液を輸血しても死亡率は変わらない

血液の保存期間の平均日数は,新鮮血液の群で 6.1日であったのに対し,標準的な血液の群では 22.0日でした。

輸血後90日の時点で新鮮な血液を輸血した群は448例(37.0%),標準的な血液を輸血した群は430例(35.3%)と同程度の死亡例がありました。

その他に追加評価した項目(既往歴,呼吸器や循環器・腎臓に対する補助治療を行った日数、入院期間,輸血した際の反応)のいずれにおいても,両群の間で有意差は認められませんでした。

 

今回の研究結果では、重症患者において新鮮な赤血球を輸血しても死亡率は低下しないことが示されました。ただし、この結果をもって、「血液の新鮮さが重要でない」と言えるわけではないことにも注意が必要です。

現場の医師の方は、この結果をどのように受け止められるでしょうか?

 

執筆者

佐々木 康治

参考文献

Age of transfused blood in critically ill adults.,

N Engl J Med., 2015 Apr 9

 

[PMID: 25853745]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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