2015.09.15 | コラム

切るための必需品!メス・はさみの種類(手術用器械シリーズ①)

手術において切るために使われる手術器械の解説
切るための必需品!メス・はさみの種類(手術用器械シリーズ①)の写真
(C) NS

近年のドラマや映画などの手術現場の再現はよりリアルになっていて、実際に使用されている器械の映像や名前なども多く登場します。それでは、実際にどのような器械が使われて手術が行われているのでしょうか?『手術用器械シリーズ』第一弾は、手術において切るために使われる器械について解説します。

手術において、切るという作業は必要不可欠です。例えばお腹を開ける開腹手術においても、まず皮膚を切って、脂肪を切って、筋肉を切って、腹膜を切って、という作業を経てようやく消化管が見えます。一つの手術で最初から最後まで何かしらを切るという操作が付いて回ります。その、切るために使う手術用の器械について解説します。

 

◆メス(円刃・尖刃)

手術と言えば、「メス!」と医師が手を差し出す手術シーンのイメージが湧いてくる人も多いと思います。メスは手術用器械の中でも知名度の高い器械でしょう。メスはどんな器械かというと、カッターやI字カミソリのような刃物です。日本では一般的にメスと呼ばれていますが、これはオランダ語で、ナイフの意味です。日本語では、円刃(えんじん)や尖刃(せんじん)と呼ばれます。円刃は刃先が丸くなっており、尖刃は刃先がまっすぐで鋭く尖っています。刃先の形状は多数ありますが、形によって10番、11番、15番などと番号が付けられており、用途によって使い分けられます。ほんの一部ですがご紹介します。

  • 10番:円刃で、スタンダードなメス。広くて深めの範囲の皮膚切開などに使われるが、小さい皮膚切開には向かない。
  • 15番:円刃だが、10番メスよりも刃先の大きさが小さく、より小さく浅い皮膚切開に用いられる。
  • 11番:尖刃で、小さい切開に使用する以外に、穴を開けたり、組織を切り離したり、様々な用途に使用される。

手術用器械としてはメジャーなメスですが、意外にもに手術中の使用頻度は高くありません(術式にもよりますが)。手術中の“切る”操作の大半は電気メス、もしくははさみを使用します。次項でははさみについて解説します。

 

◆はさみ(剪刀)

はさみと言われて思い浮かべる文房具のはさみの形状と、基本的には同じような構造のものが手術でも使われています。多種多様なはさみがありますが、主に先端の形状や柄の長さなどが違います。先端が曲がっていたり、小さかったり、尖っていたり、刃が薄かったり、違いは様々です。はさみは総称で剪刀(せんとう)と言いますが、基本的にはクーパー、メッツェン、メイヨー、直剪刀などの細かく区別した名前で呼ばれます。これらの名前は、用途や見た目に合わせた名前だったり、開発者の名前が付けられることも多くあります。ほんの一部ですがご紹介します。

  • クーパー:先端が丸く、刃の幅も太くて厚く、曲がっている。比較的厚みのあるものや硬いものなどを切るために使われる。他にも、血管を縛った糸を切ったり、生体の組織を切る以外の用途に使用されることが多い。長クーパー、中クーパーなど、器械自体の長さや刃の幅が違うものもある。
  • メッツェンバーム(メッツェン):先端が細く薄く、曲がっている。血管の周りの薄い膜を剥がす、その膜を切る、糸で結んだ後の血管を切るといった繊細な操作に使用される。
  • メイヨー:先端が細いが、メッツェンバームと比べて刃が厚くて大きい。主に整形外科で使用されることが多く、厚みのある組織や硬い組織を切るために使用される。
  • 直剪刀:クーパーの刃先が曲がっていないもの。生体に使用されることはあまりなく、医療材料などを必要時切るのによく使用される。雑務に使用されるため、雑剪(ざっせん)と呼ばれる。

他にも多種ある剪刀を必要に合わせて使い分けます。実際には、医師は「はさみ」としか言わない場合も多いため、手術の進行に合わせてどの種類の剪刀が必要なのか判断し、渡さなければなりません。

ひとえに切ると言っても、部位や目的でこんなに多種多様の器械を使い分けているのです。

 

【訂正9/15】

誤字2か所を訂正しました。

いずれも 誤)メーヨー → 正)メイヨー

執筆者

名原 史織

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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