2015.08.11 | コラム

手術野で使われる医療機器(手術室の中シリーズ③)

切ったり焼いたりする医療機器
手術野で使われる医療機器(手術室の中シリーズ③)の写真
(C) Carsten Kattau - Fotolia.com

同シリーズ第二弾で、麻酔の管理に必要な医療機器をご紹介しました。今回は、実際に手術している場面で使用されている医療機器について解説します。

今回は、主に手術中「切ったり焼いたり」する医療機器についてご紹介します。

 

◆電気メス

手術室にて行なわれている手術において、電気メスの依存度は非常に高いです。中~大規模の手術では必須と言っても過言ではありません。電気メスとは、その名の通り電気の力で切るメスです。

通電するためのハンドピースを使用して人体に高周波電流を流して熱を発生させ、主に皮膚や脂肪、筋肉などの組織の切開と、組織の凝固をします。この作用により、切った組織から出た出血を止める、またはあらかじめ血が出ないように血管を凝固してから組織を切る、という一連の作業が行えます。

電気メスの先端から体内に流れた電流は、体に貼られた対極板(コードで電気メスの本体と繋がったシール)から回収され、本体へ返されます。これにより人体には余分な電流が残らない仕組みとなっています。

 

◆バイポーラ

バイポーラは、電気メスと似たような役割を担う医療機器です。電気メスが切開と凝固が可能であるのに対し、バイポーラは切開には向かず、主に凝固のみの機能になります。バイポーラは先端がセッシ(ピンセット)のような形状になっており、その二本の先端で組織を挟んで通電することにより、その間で電流が流れて凝固します。

ただし、電気メスより電流が少なく、二本の先端で電流を流す働きと回収する働きがあるため対極板は不要になります。バイポーラは比較的小さな手術や通電箇所をピンポイントにとどめたい時(神経の周りや脳の手術など)に主に使用されます。

 

◆エナジーデバイス

電気メスやバイポーラもエナジーデバイス(電気や超音波などのエネルギーを動力として手術操作を行う機器)の一種ですが、それ以外に「結紮(けっさつ)」に特化した器械が開発され、主に開腹手術や腹腔内手術で頻用されています。

結紮とは、手術の進行状況によって切る必要がある血管を、あらかじめ糸で結んで血が出ないようにするという手技で、エナジーデバイスは、電気や超音波の力で結紮と切る作業ができます(切る作用のないデバイスもあります)。

中~大規模な手術において、脂肪や筋肉、臓器の周囲の組織などを切っていくうえで結紮はつきもので、その手技を器械に任せて進行する事ができると、時間の短縮や安全性の向上につながります。

電気メスよりも太い血管に有用であるため(太さの制限はありますが)、多くは電気メスに追加して使用されます。内視鏡下の手術において特に有用で、近年の内視鏡下手術の発展を支えていると言っても過言ではありません。

 

様々な医療機器の開発で、現在の手術事情は大きな発展を遂げていますが、医療の発展と共に今より更に安全で、便利で、簡単な使用が可能な医療機器の開発が期待されます。

ただし、それらを扱うのは全て人の手であり、機器を過信せずに安全の確認を怠らないことも、今後ますます重要視されていくべきだと思います。

執筆者

名原 史織

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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