ピモベンダン(心不全治療薬)
心筋の収縮に関わるCa(カルシウム)イオンの感受性の増強作用やPDE3(ホスホジエステラーぜ3)阻害作用により、心筋機能を改善させ、心不全による息切れ、息苦しさなどの症状を改善する薬

ピモベンダン(心不全治療薬)の解説

ピモベンダン(心不全治療薬)の効果と作用機序

  • 心筋におけるCa(カルシウム)イオンの感受性の増強作用などにより、心筋機能を改善させ、心不全による症状を改善する薬
    • 心不全は何らかの原因により心臓の働きが弱くなり、息切れや息苦しさなどの症状があらわれる
    • 心筋の収縮は心筋細胞内のCaイオンなどの働きによっておこる
    • 本剤は心筋のCaイオン感受性の増強作用やPDE3(ホスホジエステラーゼ3)という酵素の阻害作用により心筋機能の改善作用をあらわす

ピモベンダン(心不全治療薬)の薬理作用

心不全は何らかの原因により心臓の働きが弱くなり、全身に血液を送りづらくなることで、息切れ、息苦しさ、体のむくみなどの症状があらわれる。

心筋の収縮は筋小胞体というところからCa2+(カルシウムイオン)が放出され、筋原線維のトロポニンCという物質と結合し、アクチンとミオシンが相互作用(滑走)することによりおこる。

ピモベンダンはトロポニンCに対するCa2+の結合親和性を高めることで心筋のCa2+感受性を増強する作用をあらわす。

またピモベンダンはPDE3(ホスホジエステラーゼ3)という酵素を阻害する作用をあらわしcAMPの濃度を上昇させ、これによりPKA(プロテインキナーゼA)という物質が活性化する。PKAは心筋細胞内Ca2+濃度を上昇させ、心筋の収縮力を高めるとともに、筋小胞体へのCa2+の再取り込みを促進させ心筋拡張機能を改善する作用をあらわす。

ピモベンダンはこれらの作用によって心筋機能を改善させ、心不全による息切れ、息苦しさなどの症状を改善する作用をあらわす。

ピモベンダン(心不全治療薬)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 腹痛、食欲不振、吐き気などがあらわれる場合がある
  • 精神神経系症状
    • 頭痛、めまいなどがあらわれる場合がある
  • 循環器症状
  • 肝機能障害
    • 頻度は非常に稀とされるが、AST、ALT、γ-GTPの上昇などを伴う肝機能障害があらわれる可能性がある
    • 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸発疹、吐き気・嘔吐、痒みなどがみられ症状が続く場合には放置せず、医師や薬剤師に連絡する

ピモベンダン(心不全治療薬)の一般的な商品とその特徴

ピモベンダン「TE」

  • ピモベンダンの錠剤
    • 規格として0.625mg、1.25mg、2.5mgがある