エストラムスチン製剤(前立腺がん治療薬)
前立腺がんの発症・悪化因子となる男性ホルモンを阻害する抗アンドロゲン作用とがん細胞に対する殺細胞作用により、主に前立腺がんに対して抗腫瘍作用をあらわす薬
エストラムスチン製剤(前立腺がん治療薬)の解説
エストラムスチン製剤(前立腺がん治療薬)の効果と作用機序
エストラムスチン製剤(前立腺がん治療薬)の薬理作用
前立腺がんは前立腺にできるがんであり通常、男性ホルモン(アンドロゲン)が前立腺のアンドロゲン受容体に作用するほど発症する危険性が高まり、がん細胞が前立腺に存在する場合では悪化につながる。
女性ホルモンの一つである卵胞ホルモンはアンドロゲンの一つであるテストステロンの生合成などを抑える抗アンドロゲン作用をあらわす。
本剤(エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物)は、卵胞ホルモンのエストラジオールとアルキル化剤(細胞増殖に必要なDNAなどを阻害する作用をあらわす)を化学的に結合させた薬剤となっている。
本剤の主要代謝物のエストラムスチンは前立腺がん組織にあるEMBP(estramustine binding protein)というタンパク質に結合し前立腺がん組織に集積され殺細胞作用をあらわす。また代謝物のエストラジオールはテストステロンの合成阻害、強い男性ホルモン作用をあらわすジヒドロテストステロンの生成に関わる5α-リダクターゼの阻害作用などにより抗アンドロゲン作用をあらわす。これらの作用により本剤は主に前立腺がんに対し抗腫瘍作用をあらわす。
エストラムスチン製剤(前立腺がん治療薬)の主な副作用や注意点
- 女性化乳房
- 本剤の主な成分の一つである
卵胞ホルモン (エストラジオール)の作用などにより乳房の女性化があらわれる場合がある
- 本剤の主な成分の一つである
- 消化器症状
- 食欲不振、吐き気・嘔吐、腹痛、下痢などがあらわれる場合がある
エストラムスチン製剤(前立腺がん治療薬)の一般的な商品とその特徴
エストラサイト
- カルシウムイオンを含む食品や製剤との飲み合わせに関して
- 本剤と牛乳などのカルシウムを多く含む食品やカルシウム製剤などを同時に服用すると、本剤の吸収が低下し本剤の作用が減弱する可能性があり注意が必要