膵炎治療薬
膵液に含まれるタンパク分解酵素を阻害し膵臓の炎症による腹痛、吐き気などを改善する薬

膵炎治療薬の解説

膵炎治療薬の効果と作用機序

  • 膵液に含まれるタンパク分解酵素を阻害し膵臓の炎症による腹痛、吐き気などを改善する薬
    • 膵臓から出される膵液には膵臓自体を消化してしまう作用もあり、これにより膵臓に炎症がおこる場合もある
    • 膵液にはタンパク分解酵素などが含まれていてこれが膵臓に炎症をもたらす
    • 本剤はタンパク分解酵素阻害作用をあらわす

膵炎治療薬の薬理作用

膵臓には消化酵素(膵液)を十二指腸に送り出したり、血糖を下げるインスリンを分泌するなどの働きがある。膵液は膵臓自体を消化してしまう場合もあり、何らかの原因で膵液によって膵臓に度々炎症がおきると膵臓の細胞が硬くなり、膵臓の働きが失われていき、腹部や背部の痛み、下痢、血糖値の上昇などがあらわれる場合がある。膵液にはトリプシンやキモトリプシンなどのタンパク分解酵素を含み、これらが膵臓の炎症を引き起こす。

本剤はタンパク分解酵素であるトリプシンやトロンビンなどを阻害する作用をあらわすことで、慢性膵炎における急性症状の改善や急性膵炎などの症状改善が期待できる。また、トロンビンなどの一部のタンパク分解酵素には血液凝固因子としての働きもあることから、本剤の中には播種性血管内凝固(DIC)などに対して保険承認されているものもある。

膵炎治療薬の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 吐き気、下痢などがあらわれる場合がある
  • 肝機能異常
    • 頻度は稀だが、肝機能の異常により黄疸などがあらわれる可能性がある
  • 過敏症
    • 頻度は稀だが、発疹、痒みなどがあらわれる場合がある

膵炎治療薬の一般的な商品とその特徴

フオイパン

  • カモスタット製剤
  • タンパク分解酵素のトリプシンやトロンビンなどを阻害する
  • 術後の逆流性食道炎に使用する場合もある

フサン

  • ナファモスタット製剤
  • タンパク分解酵素の阻害作用の他、血液凝固因子阻害作用や血小板凝集を抑制する作用などをもつ
  • 播種性血管内凝固症候群などに対しても保険承認されている