副交感神経刺激薬(消化管運動亢進薬)
副交感神経の働きを活発にし消化管運動を亢進させることで、胃もたれなどの消化器症状を改善する薬

副交感神経刺激薬(消化管運動亢進薬)の解説

副交感神経刺激薬(消化管運動亢進薬)の効果と作用機序

  • 副交感神経の働きを活発にし消化管運動を亢進させることで、胃もたれなどの消化器症状を改善する薬
    • 消化管運動が低下することなどによって胃もたれ、胸やけ、胃の痛みなどがおこることがある
    • 消化管運動は副交感神経が関与し、神経伝達物質アセチルコリンの作用により副交感神経が活発になる
    • 本剤はアセチルコリンの増強作用などにより副交感神経を活発にする作用をあらわす
  • 薬剤によってアセチルコリンへの作用の仕組みが異なる場合がある

副交感神経刺激薬(消化管運動亢進薬)の薬理作用

消化管の運動機能低下や胃の知覚過敏などにより胃もたれ、胸やけ、吐き気、胃の痛みなどの症状があらわれる場合がある。

消化管の運動は副交感神経の働きによって調節されており、副交感神経が活発になると消化管運動が亢進する。神経伝達物質であるアセチルコリンの作用が増強されると副交感神経の働きが活発になる。アセチルコリンの作用するムスカリン受容体を刺激する、アセチルコリンを分解する酵素であるコリンエステラーゼを阻害する、アセチルコリンを遊離させるセロトニン受容体を刺激する、などによりアセチルコリンの作用増強に伴う副交感神経の活性化がおこる。

本剤は薬剤毎それぞれの作用により、アセチルコリンの増強作用などをあらわし、消化管運動を亢進させることで胃もたれや腹部膨満感、吐き気、みぞおちの痛みなどの消化器症状の改善作用をあらわす。

副交感神経刺激薬(消化管運動亢進薬)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 下痢、吐き気などがあらわれる場合がある
  • 過敏症
    • 非常に稀だが、発疹蕁麻疹などがあらわれる場合がある

副交感神経刺激薬(消化管運動亢進薬)の一般的な商品とその特徴

ガスモチン

  • 主に神経伝達物質セロトニンの5-HT4という受容体に作用し、アセチルコリンの遊離促進作用により消化管運動を亢進させる
  • 散剤があり、嚥下機能の低下した患者などへのメリットが考えられる

アコファイド

  • アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼを阻害することなどにより消化管運動を亢進させる
  • 主に機能性ディスペプシアによる腹部膨満感などを改善する

ベサコリン

  • アセチルコリンに類似した作用(ムスカリン様作用)により消化管運動を亢進させる
  • 排尿促進作用をあらわし、神経因性膀胱などの治療に使用する場合もある
    • 排尿改善目的でα1遮断薬であるウラピジル(主な商品名:エブランチル)などと併用される場合もある