脊髄小脳変性症治療薬(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン製剤)
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)を元に造られた製剤で体内でTRHの中枢神経系への作用により小脳運動失調症状を改善する薬
同義語:
TRH製剤

脊髄小脳変性症治療薬(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン製剤)の解説

脊髄小脳変性症治療薬(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン製剤)の効果と作用機序

  • 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)を元に造られた製剤で体内でTRHの中枢神経系への作用により小脳運動失調症状を改善する薬
    • 脊髄小脳変性症では小脳、脊髄の組織異常により体をうまく動かすことができなくなる
    • 脊髄小脳変性症の主な症状として立った時にふらつくなどの運動失調がある
    • 中枢の神経伝達物質に多様な作用をあらわす甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)は小脳運動失調の改善作用が確認されている

脊髄小脳変性症治療薬(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン製剤)の薬理作用

脊髄小脳変性症は、脳の一部である小脳、脳から背骨の中に伸びる脊髄の組織異常により体を上手に動かすことができないなどの症状があらわれる。中でも運動失調は主な症状の一つで、立ったときふらつく、片足立ちができない、体幹のバランスが不安定になるなどの症状があらわれる。これらの症状は中枢神経系における神経伝達物質の異常などが原因でおこるとされ、神経伝達物質に多彩な作用をあらわす甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)による改善効果が確認されている。

本剤はTRHを元に造られた製剤で脳内の神経伝達物質(アセチルコリン、ドパミン)の遊離促進作用や神経突起(神経細胞において刺激や情報を受けるために細胞から樹木の枝のように分岐した突起)を延長させる作用などにより小脳運動失調症状を改善するとされる。

脊髄小脳変性症治療薬(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン製剤)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 吐き気、食欲不振、腹痛、口渇などがあらわれる場合がある
  • 循環器症状
    • 血圧及び脈拍数の変動(一過性の血圧低下など)、動悸などがあらわれる場合がある
  • 痙攣
    • 頻度は非常に稀である
    • 顔や手足の筋肉がぴくつく、一時的にボーっとして意識が薄れる、手足の筋肉が硬直しガクガクと震えるなどがみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

脊髄小脳変性症治療薬(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン製剤)の一般的な商品とその特徴

セレジスト

  • TRHを加工して体内での安定性を高めた製剤
    • TRHのもつ中枢神経作用を残したまま、ホルモン作用を軽減した製剤
    • 一般的に、ホルモン作用による副作用が少ないとされる
  • OD錠があり、嚥下機能の低下した患者などへのメリットが考えられる

ヒルトニン

  • 注射剤であり、遷延性の意識障害などに使用する場合もある