コリンエステラーゼ阻害薬(認知症治療薬)
脳内の神経伝達物質(アセチルコリン)の量を増やしアルツハイマー病などの認知症における記憶障害(もの忘れ)、実行機能障害(問題解決能力の低下)、見当識障害(時間や場所の見当がつかない)などの症状の進行を遅らせる薬

コリンエステラーゼ阻害薬(認知症治療薬)の解説

コリンエステラーゼ阻害薬(認知症治療薬)の効果と作用機序

  • 脳内の神経伝達物質アセチルコリンの量を増やし、アルツハイマー病などの認知症による記憶障害などの症状の進行を遅らせる薬
    • アルツハイマー病などの認知症では神経伝達物質アセチルコリンが関わる神経系の障害などが原因となり記憶障害などの症状があらわれる
    • 脳内でアセチルコリンはコリンエステラーゼという酵素によって分解される
    • 本剤はコリンエステラーゼを阻害し、主に脳内におけるアセチルコリンの分解を抑えることでアセチルコリンを増やす作用をあらわす
  • 薬剤によって剤形(剤型)が様々である
    • 口腔内崩壊錠(D錠、OD錠)、ドライシロップ剤、外用貼付薬(パッチ剤)などがある

コリンエステラーゼ阻害薬(認知症治療薬)の薬理作用

アルツハイマー病などの認知症では、脳内のアセチルコリンという神経伝達物質が関わるコリン作動性神経系の障害などが原因となり、記憶障害(もの忘れ)、実行機能障害(問題解決能力の低下)、見当識障害(時間や場所の見当がつかない)などの症状があらわれる。

アセチルコリンは脳内でコリンエステラーゼという酵素により分解される。コリンエステラーゼの働きを阻害することができれば、アセチルコリンの働きを増強する効果が期待できる。

本剤は、コリンエステラーゼ(主にアセチルコリンエステラーゼ)を阻害しアセチルコリンの分解を抑え、脳内のアセチルコリンの量を増やす作用をあらわす。この作用により、コリン作動性神経系を賦活させ、アルツハイマー病などの認知症による症状の進行を遅らせる効果が期待できる。

コリンエステラーゼ阻害薬(認知症治療薬)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 下痢や吐き気などの症状があらわれる場合がある
    • 症状は投与開始初期や薬の増量時などにおこりやすいとされる
    • 投与を継続していくにつれて症状が和らぐ場合が多い
    • しばらく投与を継続しても症状が緩和しない場合は、医師や薬剤師に相談する
  • 精神神経系症状
    • 眠気、めまいなどの症状があらわれる場合がある
  • 循環器症状
    • 頻度は稀だが、動悸や脈の乱れなどの症状あらわれる場合がある

コリンエステラーゼ阻害薬(認知症治療薬)の一般的な商品とその特徴

アリセプト

  • ドネペジル製剤
  • 剤形(剤型)に関して
    • D錠(口腔内崩壊錠)、ゼリー剤、ドライシロップ剤などもあり、嚥下機能の低下した患者などへのメリットも考えられる
  • レビー小体型認知症に対しても保険承認されている

アリドネ

  • ドネペジル製剤
  • 剤形が外用貼付剤(パッチ剤)
    • 通常、1日1回、背部、上腕部、胸部のいずれかに 貼付し、24時間毎に貼り替える
    • 貼付剤のため、嚥下機能の低下した患者へのメリットのほか、家族や介護従事者などが視覚的に貼付状況を確認できるメリットなども考えられる

レミニール

  • ガランタミン製剤
  • 剤形(剤型)に関して
    • OD錠(口腔内崩壊錠)、内服液もあり、嚥下機能の低下した患者などへのメリットも考えられる

イクセロン、リバスタッチ

  • リバスチグミン製剤
  • 剤形が外用貼付剤(パッチ剤)
    • 通常、1日1回、背部、上腕部、胸部のいずれかに貼付し、24時間毎に貼り替える
    • 貼付剤のため、嚥下機能の低下した患者へのメリットのほか、家族や介護従事者などが視覚的に貼付状況を確認できるメリットなども考えられる
  • アセチルコリンなどを分解するブチリルコリンエステラーゼという酵素を阻害する作用もあるとされる