けっかくせいかんせつえん(かんせつけっかく)
結核性関節炎(関節結核)
結核菌が原因で関節に炎症が生じる病気
6人の医師がチェック 88回の改訂 最終更新: 2022.03.11

結核性関節炎(関節結核)の基礎知識

POINT 結核性関節炎(関節結核)とは

結核菌が関節に感染している状態です。本来関節は無菌状態ですが、血液中に結核菌が侵入して関節にたどり着いた場合や関節周囲にできた傷から結核菌が侵入した場合に起こります。主な症状は、関節の腫れや痛みなどになりますが、感染が長期化すると関節が変形します。 関節液中に結核菌がいるかどうかを調べるために塗抹検査・培養検査・PCR検査を行い、その結果を踏まえて診断します。感染で汚染された関節液を抜いたり、感染した関節を切除したりして治療します。また、同時に抗結核薬を飲むことになります。結核性関節炎が心配な人や治療したい人は、整形外科や感染症内科を受診して下さい。

結核性関節炎(関節結核)について

  • 結核菌が原因で関節に炎症が生じる病気
  • 病気のメカニズム
    • 主に肺で結核菌の感染が起こって、一部血流に乗った結核菌が関節にたどり着いて関節炎を起こす
    • 皮膚に傷がある時に、結核菌が皮膚の傷から関節に侵入する
  • 国内で年間2万人程度
    • 幼児や高齢者に多い
  • 結核菌が背骨に感染した場合は、「脊椎カリエス」と呼ばれる
  • 肺結核が激減し、まれな疾患になりつつある

結核性関節炎(関節結核)の症状

  • 関節の障害:膝や股関節に多い
    • 関節の腫れ:関節に水が溜まった状態
    • 関節のこわばり:関節が動かしづらい状態
    • 関節の痛み
    • 発赤や熱感などの炎症症状はあまり見られない
  • 発熱
    • 高熱になることもある
  • 骨の変形
    • 重症の場合には骨が溶けることで骨が曲がる

結核性関節炎(関節結核)の検査・診断

  • 血液検査:炎症の有無などを調べる
    • ESR
    • CRP
    • 抗原特異的インターフェロン-γ遊離検査(IGRA)
      • T-SPOT
      • QFT
  • 画像検査:感染の有無や範囲、骨の変形などを調べる
    • レントゲン検査
    • CT検査
    • MRI検査
    • 早期のレントゲンでは骨の萎縮や関節周りの腫脹が見られる
  • 顕微鏡塗抹検査:関節内の液体や滑膜を切り取って、結核に感染しているか調べる
  • 抗酸菌培養検査:切り取った関節内の液体は滑膜を培養して、結核菌の有無を調べる

結核性関節炎(関節結核)の治療法

  • 主な治療法
    • 薬物療法:抗結核薬(イソニアジドやリファンピシリンなど)で菌を殺す
      • 結核薬は症状がなくなってからも飲み続けることが重要
    • 保存療法
      • 痛めた関節をギブス固定し、安静にする
      • 栄養改善 
    • 手術
      • 関節鏡視下手術:小さいカメラを関節の中に入れ、傷んだ組織を取り除き、また水も抜く
    • リハビリテーション:曲げ伸ばしがしにくい関節の改善
  • 結核は、免疫力の低下により引き起こされるため、日頃から運動や規則正しい生活をすることも重要
    • 特に糖尿病のある人では、治療を怠らずに血糖値をきちんとコントロールすることが必要
    • 糖尿病の人は結核になりやすいことが分かっている
  • 予防接種(BCG)をきちんと打つ
    • 赤ちゃんの時に1歳になるまでに打つ

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