こうじょうせんにゅうとうがん
甲状腺乳頭がん
甲状腺がんの一種で、甲状腺がんの9割以上を占める。進行はゆっくりであることが多い
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最終更新: 2021.12.23
甲状腺乳頭がんの基礎知識
POINT 甲状腺乳頭がんとは
甲状腺がんで最も多いタイプのがんであり、90%以上が乳頭がんであるとされています。症状は甲状腺(前頸部)のしこりで、進行すると首のリンパ節に転移して首にしこりとして触れます。がんが進行すると、声帯を動かす神経が麻痺して声がれがでたり、飲み込みにくさなどの症状がでます。診断は甲状腺超音波を行い、腫瘍に針を刺して細胞を調べる検査で行います。その他に、血液検査、頸部CT検査、PET-CT検査などを行います。治療は原則として手術で、甲状腺を半分もしくは全て摘出します。進行度に応じて術後に放射線のついたヨードを内服する、追加治療を行います。進行が遅く、手術後の10年生存率は90%以上と良好です。甲状腺のしこりの原因は様々であり、まずは一般内科の受診で構いませんが、甲状腺や内分泌の病気に対応している内科が望ましいです。手術などの治療は耳鼻咽喉科や甲状腺外科で行います。
甲状腺乳頭がんについて
甲状腺乳頭がんの症状
- がんの早期は無症状であることが多い
- 健康診断などで偶然見つかることもある
- がんが大きくなると、甲状腺のしこりとして触れる
- 首のリンパ節に転移すると、首にしこりを触れることがある
- 甲状腺にあるがんが、触れないほど小さい場合でも、首のリンパ節に転移していることもある
- がんが進行すると声がれや、飲み込みづらさが出ることがある
- 声帯を動かす神経が麻痺して声がれが起こる
- 声帯が麻痺すると、むせやすくなり、飲み込みにくさが出る
甲状腺乳頭がんの検査・診断
- 頸部超音波検査(エコー検査)
- 喉頭ファイバースコープ検査
- 声がれがある場合には、声帯の麻痺がないかを調べる
- 鼻から細くて柔らかいカメラを入れて、のどの奥を観察する
- 血液検査
- 甲状腺機能検査など
- 病理検査
- がんを疑うしこりに針を刺して細胞を取り、悪性の細胞がないかを顕微鏡で調べる
- 頸部CT検査
- PET-CT検査
- 全身に転移がないかどうかを調べる
甲状腺乳頭がんの治療法
- 手術でがんを切除するのが治療の原則
- がんの広がりの程度で、甲状腺のとる範囲を決める
- 甲状腺全摘術:甲状腺を全て摘出する
- 甲状腺葉峡部切除術:がんのある甲状腺を摘出する
- 腫瘍の切除に加えて甲状腺の周りのリンパ節の摘出を行う
- 首にリンパ節転移がある場合は、首のリンパ節を全体的に摘出する手術を行う(頸部郭清術:けいぶかくせいじゅつ)
- 1cm以下の小さな乳頭がんに関しては経過観察をすることもある
- がんの広がりの程度で、甲状腺のとる範囲を決める
- 進行の程度で甲状腺全摘術後に追加治療を行う
- 手術後に甲状腺ホルモン、カルシウムを維持する飲み薬を必要とすることがある
- 甲状腺を全て摘出した場合は、甲状腺ホルモンを一生内服する
- 甲状腺の裏にある副甲状腺を一緒に摘出した場合には、カルシウムなどの飲み薬が必要
- ビタミンD製剤:通常ビタミンD製剤のみの内服で、カルシウムの維持が可能
- カルシウム製剤:ビタミンD製剤のみでカルシウムを維持できない場合に内服する
- 手術後の10年生存率は90%以上
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