たかんしょう
多汗症
汗を必要以上にかいてしまう病気
5人の医師がチェック 71回の改訂 最終更新: 2023.06.01

多汗症の検査や診断について

多汗症が疑われる人には診察や検査が行われ、その原因や程度が調べられます。また、中には他の病気が原因で多汗症を起こしている人がいます。他の病気が疑われる人には血液検査が行われます。

1. 問診

問診は患者さんとお医者さんの対話による診察のことで、患者さんの身体の状況や背景を確認する目的があります。患者さんは自分の困っている症状をお医者さんに伝えてください。一方で、お医者さんからは患者さんの症状についてより詳しく聞かれたり、今までにかかった病気や定期的に服用している薬について質問をされます。

多汗症が疑われる人への問診の具体例を次に示します。

  • 発汗に関する質問
    • 多量の発汗はいつからあるのか
    • 発汗がひどくなる場面はあるのか
    • 多量の発汗はどれくらいの頻度で起こるのか
    • 睡眠中は発汗が止まっているのか
    • 発汗はどの部位に多いのか
    • 発汗が日常生活にどんな影響を与えているか
  • 患者さんの背景に関する質問
    • 現在治療中の病気はあるのか
    • 定期的に飲んでいる薬はあるのか
    • 家族に同じ症状がある人はいるか

問診によって多汗症の程度や多汗症の種類(局所性か全身性か)の見当がつけられます。また、薬の副作用や治療中の病気が多汗症の原因になることがあるので、飲んでいる薬の有無や持病について詳しく質問されます。飲んでいる薬や持病については事前に整理をしておくと、スムーズに質問に答えることができるので、メモなどにまとめておくとよいです。

2. 身体診察

患者さんの身体を観察したり触れたり、聴診器で身体の中の音を聞いたりすることを身体診察といいます。身体診察を行うことによって多汗症を起こす病気が隠れていないかや多汗症の程度などが客観的に評価されます。。身体診察ではくまなく身体を調べて、症状が現れている部位はより入念に調べられます。

3. 発汗検査

多汗症が疑われる人は発汗検査を受けます。発汗検査には「ヨード紙法」、「Minor法」、「重量計測法」、「喚気カプセル法」といくつか方法があります。検査の種類はいくつもありますが、発汗検査の目的は共通しており、発汗部位や多汗症の程度を客観的に調べることです。発汗検査の結果は治療を行うかどうかなどの判断材料にされます。

4. 血液検査

多汗症かどうかは血液検査で診断することはできません。血液検査の目的は多汗症の背景に病気がかくれているかどうかを調べることです。多汗症の中には甲状腺機能亢進症褐色細胞腫といった他の病気が原因となっていることがあります。これら他の病気が疑われる場合は、血液検査の結果が参考にされます。

5. 重症度について

多汗症の重症度を調べる方法はいくつかあります。次に示すものは自覚症状をもとにした重症度の分類です。

【多汗症の重症度】

  1. 発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
  2. 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
  3. 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
  4. 発汗は我慢できずに、日常生活に常に支障がある

3と4にあてはまる人が重症と判断され、治療が検討されることが多いです。治療については「多汗症の治療」を参考にしてください。

参考:

原発性局所多汗症診療ガイドライン2023
・UpToDate:Primary focal hyperhidrosis Authors:C Christopher Smith, MD David Pariser, MD