あめーばせいかんのうよう
アメーバ性肝膿瘍
アメーバ原虫の感染によって、肝臓内に膿が溜まった状態
6人の医師がチェック 44回の改訂 最終更新: 2017.09.05

アメーバ性肝膿瘍の基礎知識

POINT アメーバ性肝膿瘍とは

アメーバ原虫の感染によって起こる病気です。肝臓(特に右側に多い)に膿が溜まった状態になります。海外渡航後や同性愛者、HIV感染者に多いです。主な症状は発熱・全身倦怠感・下痢・黄疸(目や皮膚が黄色くなる)、右肋骨周囲の痛み、寝汗などになります。 血液検査・画像検査で疑い、細菌検査で診断を確定します。身体の中にある膿を簡単には調べることが出来ませんので、身体の外から針などを刺して溜まった膿を採取して細菌検査を行います。膿を身体の外に出す処置(ドレナージ)や抗菌薬を用いて治療します。アメーバ性肝膿瘍が心配な人や治療したい人は、消化器内科や感染症内科を受診して下さい。

アメーバ性肝膿瘍について

  • アメーバ原虫の感染によって、肝臓内にが溜まった状態
    • 腸管に感染したアメーバ原虫が腸壁より血行性に肝臓に移行する
    • 赤痢アメーバ症などにより門脈を介して菌(赤痢アメーバ)が肝臓に感染し、膿瘍ができる
  • 膿瘍は単発性で肝臓の右側にできることが多い
  • 海外渡航者、同性愛者、HIV、中年男性、ステロイド使用者に多い
  • 小児での発症例は少なく、95%以上は成人が占めている
    • 18-50歳の男性の罹患率が高い

アメーバ性肝膿瘍の症状

  • 発熱のみの症状の場合が多い
  • その他
    • 全身倦怠感
    • 肋骨からみぞおちにかけての痛み
    • 黄疸
    • 血の混じった下痢
    • 盗汗(寝汗が多くなる)

アメーバ性肝膿瘍の検査・診断

  • 血液検査
    • アメーバ抗体
    • 肝機能検査(トランスアミナーゼやLDHなど)
  • 画像検査
    • 超音波検査
    • CT検査
    • MRI検査
  • 穿刺検査
    • のある部分を体外から針を刺して外に出す
    • 膿を顕微鏡で見て赤痢アメーバが存在するかを確かめる

アメーバ性肝膿瘍の治療法

  • 抗菌薬(メトロニダゾール、エメチン)の使用が一般的

アメーバ性肝膿瘍に関連する治療薬

メトロニダゾール製剤

  • 細菌や原虫のDNAの切断作用などにより、抗菌作用や抗原虫作用をあらわす薬
    • 細菌や原虫などが生命活動を行うには遺伝情報が刻まれたDNAが必要となる
    • 本剤は細菌や原虫といった病原微生物に取り込まれた後、抗菌作用及び抗原虫作用をあらわす
    • 本剤は細菌や原虫のDNA切断作用などをあらわす
  • 本剤は原虫であるトリコモナスによる感染症の他、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)などの嫌気性細菌の感染症などで使用する
メトロニダゾール製剤についてもっと詳しく

アメーバ性肝膿瘍が含まれる病気

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