かいせん
疥癬
疥癬虫(ヒゼンダニ)が皮膚の表面に寄生して生じる感染症
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最終更新: 2017.12.06
疥癬の基礎知識
POINT 疥癬とは
ヒゼンダニが媒介となって起こる感染症です。人の皮膚に巣を作ってヒゼンダニが増殖することで症状が出てきます。主な症状は痒みや湿疹で、夜間になると痒みが強くなるのが特徴です。 皮膚をダーモスコピーを用いて観察したり、皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察して診断します。治療には駆虫薬を用います。疥癬が心配な人や治療したい人は、皮膚科や感染症を受診して下さい。
疥癬について
- 疥癬虫(ヒゼンダニ)が皮膚の表面に寄生して生じる
感染症 - ヒゼンダニがヒトの皮膚に巣を作り、増殖することで、かゆみなどの症状が生じる
- かゆみは
アレルギー 反応によって起こると考えられている
- 感染してから1-2か月は症状が出ないことが多い
- 主な感染経路
- 感染者との接触(性行為を含む)
- 感染者との寝具の共有
- 接触すれば誰でも感染するが、特に日本では施設に入所している高齢者に多い
- ダニの数で通常疥癬と角化型疥癬に分けられる
- 通常疥癬:ダニの寄生数は1000匹以下
- 感染力は弱い
- 頭・頚部を除く全身に
発症 する - 強いかゆみを伴う
- 角化型疥癬(ノルウェー疥癬):ダニの寄生数が多い(100万-200万匹)
- 感染力が強い
免疫 が弱っている人に起こりやすい- 全身に発症する(頭・頚を含む)
- かゆみの程度は人により異なる
- 通常疥癬:ダニの寄生数は1000匹以下
疥癬の症状
- かゆみ
- かゆみは、多くの場合夜間に強くなる
- 皮膚の湿疹
- 皮膚に疥癬トンネルと呼ばれる、拡大鏡で見ないと分からない程度のトンネル状の穴ができる
- 皮膚の浅い部分をダニが掘った入り口と、出てきた出口が確認できる
疥癬の検査・診断
- 施設入所中など疥癬にかかりやすい背景があるかどうかと、皮膚の症状から診断する
- 確定診断のためには皮膚の一部を切り取って、顕微鏡検査でダニを確認する
- ダーモスコピーと呼ばれる拡大鏡も使用される
- 血液検査や
レントゲン などの画像検査を行っても診断に近づくことはあまりない
疥癬の治療法
- ダニの
駆虫薬 に効果のある内服薬 (イベルメクチン)を使用 - ヒゼンダニに対する駆虫薬
- イベルメクチン(内服薬)
- フェノトリン(
外用薬 ) - クロタミトン(外用薬) など
- クロタミトンはかゆみ止めの薬だが、ヒゼンダニの駆虫作用もある
- かゆみを抑えるため、硫黄を含んだ軟膏を全身に塗る
- 感染を防ぐために気を付けること
- 手洗い
- 家族に感染者がいる場合、スリッパやタオル、寝具などを共有しない
- こまめに掃除機をかける
- 治療開始後ダニが死んだことによって死骸に対して
アレルギー 反応を起こして一過性に痒みが悪くなることがある
疥癬に関連する治療薬
駆虫薬(イベルメクチン)
- 糞線虫やヒゼンダニなどの寄生虫に作用し麻痺をおこして死にいたらせ、腸管糞線虫症や疥癬などを治療する薬
- 腸管糞線虫症や疥癬は寄生虫によりおこる感染症
- 本剤は糞線虫やヒゼンダニなどの無脊椎動物の神経・筋細胞に作用し麻痺をおこす
- 本剤は駆虫薬(寄生虫を殺したり体外へ排出するために用いる薬の一種)となる
- 本剤はフィラリア(犬糸状虫症)の予防などで使用する場合もある
駆虫薬(フェノトリン)
- 寄生虫などの神経伝導を遮断し殺虫作用により疥癬などに効果をあらわす薬
- 疥癬は皮膚にダニの一種であるヒゼンダニが寄生しておこる感染症
- 動物は神経伝達が阻害されると正常に体を動かせなくなり場合によっては死に至る
- 本剤は寄生虫や害虫などの神経伝導などを遮断し殺虫作用をあらわす
- 本剤は駆虫薬(寄生虫を殺したり体外に排出するために用いる薬の一種)となる
- 本剤は(家庭用殺虫剤などでも使用されている)ピレスロイド系化合物の一つ