あすぴりんちゅうどく
アスピリン中毒
アスピリンを過剰に摂取することによる中毒。アスピリンは解熱鎮痛薬や、血液をサラサラにする薬としてよく使われる
3人の医師がチェック 14回の改訂 最終更新: 2018.03.01

アスピリン中毒の基礎知識

POINT アスピリン中毒とは

アスピリンを急激に、あるいは長期に渡って過剰に摂取することにより起こる中毒です。アスピリンは解熱鎮痛薬として、あるいは血液をサラサラにする薬として病院で処方され、また市販薬としても売られています。中毒症状としては耳鳴り、吐き気、嘔吐、過呼吸、出血しやすくなる、などが見られます。診断は採血検査(血液中のアスピリン濃度測定も行う)で行います。アスピリンを中和する薬は存在しないので、治療としては血液中の電解質バランスなどを整える点滴、重症の場合には血液透析などを行います。急性のアスピリン中毒が心配な方や治療したい方は救急科を、慢性のアスピリン中毒が心配な方や治療したい方は普段アスピリンを処方してもらっているかかりつけ医か救急科を受診してください。

アスピリン中毒について

  • アスピリンを大量に摂取することで起こる中毒症状
    • 子供や高齢者が大量または長期に内服してしまうと起こる場合がある
  • 大量内服してから6-72時間経過してから症状がでる
  • アスピリンを含む薬剤として、以下のものが例として挙げられる
    • 市販薬:エキセドリンA®、バファリンA®、ケロリン®、歯痛リングル®など
      • 例えば同じ「バファリン」でも、アスピリンを含まないものも多く(バファリンルナ®、バファリンプレミアム®など)、薬剤はフルネームで確認する必要がある
    • 処方薬:バイアスピリン®、コンプラビン®、タケルダ®など

アスピリン中毒の症状

  • 典型的な症状
    • 耳鳴り(しばしば見られる)
    • 吐き気、嘔吐
    • 過呼吸 など
  • 重症例では呼吸困難やショックで死亡例もある

アスピリン中毒の検査・診断

  • 血液検査:アスピリン濃度の確認など
  • 動脈血液ガス検査:血液がどれくらい酸性になっているか確認など

アスピリン中毒の治療法

  • 内服後のタイミングによって可能な治療が異なる
    • 内服直後
      • 胃洗浄、活性炭の内服
    • その他症状に併せた治療を行う
      • 下剤
      • 点滴
      • 血液浄化療法など
  • 通常は急性中毒の場合、6時間くらい様子をみて問題なければ大丈夫とされている
    • ただし腸溶錠などゆっくりと吸収されるタイプでは、丸1日ほど様子見が必要

アスピリン中毒の経過と病院探しのポイント

アスピリン中毒でお困りの方

アスピリンは解熱剤、もしくは血液をさらさらにして脳梗塞心筋梗塞を予防するための薬剤として広く用いられている薬です。小児や高齢者が、誤って大量にアスピリンを服用してしまうとアスピリン中毒を発症します。

アスピリン通常量の、2-3日分では(体の小さな小児を除き)中毒症状を起こしにくいのですが、それを超えて過剰服薬してしまった場合には、そのまま救急外来を受診して下さい。薬物中毒の場合には、いわゆる内科や外科ではなく救急科が専門の診療科になります。

症状としては頭痛、だるさ、呼吸回数の増加、嘔吐などが出ますが、薬物中毒の中で特にアスピリン中毒だけで見られる特別な症状というものはありません。血液検査でアスピリン中毒だと診断するには時間がかかるため、受診の際は内服した薬剤そのものや、成分名が記された添付文書などが手元にあれば、治療のためにぜひ持ってくるようにして下さい。

アスピリン中毒については診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にもバリエーションが少ないため、どの病院でどのような治療を受けるか迷う余地はあまりありません。お子さんが成人用のアスピリンを大量に飲んでしまった場合や、意識がぼーっとしていたり何度も繰り返し嘔吐しているなど重症の場合には救急車での受診をお勧めします。

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