あーるえすういるすかんせんしょう
RSウイルス感染症
RSウイルスの感染による呼吸器の感染症。2歳までにほぼ全ての子どもが1回は感染する
12人の医師がチェック 134回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta RSウイルス感染症のQ&A

    RSウイルス感染症はどのような病気ですか?

    RSウイルスというウイルスが原因です。喉や鼻から侵入し気管や肺に感染し上気道炎、気管支炎、肺炎などを起こす呼吸器感染症です。年長児、成人では軽症に終わる事が多いですが、乳幼児で特に呼吸器症状が重症化する傾向にあります。冬に流行しますが、最近は7月頃から患者さんが増加する傾向にあります。

    RSウイルス感染症は、どんな症状で発症するのですか?

    潜伏期間は2-8日の範囲で一般的には4-6日です。最初は鼻水や熱のような風邪の症状から始まり、その後、咳などの下気道症状へ移行します。年長児、成人では軽症である事がほとんどです。しかし、新生児、乳児では重症化しやすく、特に初めて感染する乳幼児の20-30%が下気道症状を発症するといわれています。

    RSウイルス感染症は、どのように診断するのですか?

    鼻の奥の方へ細い綿棒を挿入し拭って採取したものを検査します。10分程度で結果がわかるため外来で簡単にできます。外来で保険適応となっているのは1歳未満の乳児や重症化しやすい疾患の患者さんであるため医師が必要と判断した場合に検査を行います。ウイルスの検出度は高いですが100%わかるものではありません。その他、血液検査でも調べる事はできますが、時間もかかり一般的ではありません。

    RSウイルス感染症の治療法について教えて下さい。

    対処療法が中心となります。咳、鼻水、発熱に対して去痰薬、解熱剤を使って治療します。呼吸困難、ゼイゼイする場合は気管支を広げる吸入を行ったり、鼻水、痰を吸引します。ステロイド製剤を使う事もあります。RSウイルス自体は細菌ではなくウイルスなので抗生物質(抗菌薬)は効きません。

    RSウイルス感染症は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    すべての年齢の人がかかる可能性がある感染症ですが、生後1歳までに半数が、2歳までにほぼ100%の子供がかかるといわれています。

    RSウイルス感染症の、その他の症状について教えて下さい。

    新生児期、乳児期早期にかかった場合はぐったりする、ミルクの飲む量が減る、また呼吸が短い間止まる無呼吸発作などが起こります。これは致命的になる可能性があるため注意が必要です。ごくまれですが急性脳症の報告もあります。

    RSウイルス感染症の、その他の検査について教えて下さい。

    重症化した場合には血液検査を行い細菌感染を合併していないかを調べたり、胸のレントゲンを撮って気管支炎、肺炎へ移行していないかを確認します。

    RSウイルス感染症では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    咳がひどくなり呼吸が苦しい、元気がない、ミルクが飲めない、呼吸が止まるなどの症状が出現した場合は入院が必要です。食事がとれるようになるまで点滴をする、酸素を持続的に吸う、吸入、吸引を繰り返し行う事などをします。平均して3-4日程度で改善し1週間程度で退院できる事が多いです。しかし、中には入院後さらに重症化する場合もあり一時的に人工呼吸器での管理が必要な事もあります。症状が改善した後は基本的には通院は不要です。

    RSウイルス感染症は、他人にうつる病気ですか?また、どのようにうつりますか?

    RSウイルスは人から人へ感染し、その経路は2種類あります。RSウイルスにかかっている人からでる咳やくしゃみ、唾液を浴びる事で感染する飛沫感染と、ウイルスが付着している物に直接触れる事で感染する接触感染があります。空気感染ではないので同じ空間にいるだけで感染する事はありません。発症から1週間-10日間は他人にうつる可能性があります。

    RSウイルス感染症が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    咳がひどくなる、喘鳴がでる、呼吸困難などの症状が出現します。全体の25-40%の人が咳気管支炎、肺炎に移行するといわれています。

    RSウイルス感染症と診断が紛らわしい病気はありますか?

    RSウイルス同じような症状を起こす呼吸器感染症はたくさんあるので、もちろんすべてがRSウイルスが原因というわけではありません。似た症状を起こすものにインフルエンザウイルス、ライノウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどがあります。インフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスに関してはRSウイルスと同様に簡単に調べる事ができるキットがあります。

    RSウイルス感染症は、再発を予防できる病気ですか?

    一度かかった事があっても一生続く抗体(免疫)はできず、何度も感染します。また、現段階では予防接種もないため、手洗い、うがいを行うなど身近にできる事から感染を防ぐしかありません。

    RSウイルス感染症にかからないように特に注意した方がいいのはどのような場合ですか?

    新生児、乳児の感染は特に重症化しやすい事が知られています。また、早産児、重い先天性心疾患や慢性肺疾患、免疫不全症、ダウン症などのお子さんでも重症化するリスクがあるので注意が必要です。

    RSウイルス感染症に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    RSウイルスは飛沫感染と接触感染でうつります。RSウイルスと判明している人との濃厚な接触をさけるのはもちろんですが、流行シーズンはマスクをする、なるべく人ごみにでない、手洗い・うがいをしっかりする事が大切です。また、接触感染を避けるために、おもちゃ、手すり、ドアノブなどをアルコール・塩素系の消毒剤で拭く事も大事です。

    RSウイルスは、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    RSウイルスの感染が改善すれば完治します。しかしRSウイルス感染症にかかったあと、長期にわたり肺機能の異常が残ったり、喘鳴を繰り返す事が知られています。また、その後喘息へ移行する可能性が示唆されていますが、はっきりとした見解はまだありません。

    RSウイルスに対するワクチンはありますか?

    現在のところワクチンはありません。しかし、その他の方法としてモノクローナル抗体であるパリビズマブの投与があります。RSウイルスの流行時期から月に1回筋肉注射をする事でRSウイルス感染の重症化を防ぐ事ができます。ただし非常に高価な薬剤であるため保険適応で接種できる患者さんが限られています。適応疾患は下記の方です。

    • 在胎期間28週以下の早産で、12か月齢以下の新生児及び乳児
    • 在胎期間29-35週の早産で、6か月齢以下の新生児及び乳児
    • 過去6か月以内に慢性肺疾患の治療を受けた24か月齢以下の新生児、乳児及び幼児
    • 24か月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
    • 24か月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児および幼児
    • 24か月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児および幼児

    RSウイルスでは出席停止期間はありますか?

    法律で決められた出席停止期間はありません。しかし、熱があるとき、咳がひどいときはもちろんお休みしましょう。全身状態がよくなり、咳、鼻の症状がある程度落ち着けば登校、登園する事は可能です。しかし発症から1週間から10日は人にうつす可能性があるので、マスクをする事が望ましいです。

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