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心タンポナーデ
心臓の周りに溜まった液体が心臓を圧迫して、全身に血液を送り出すポンプ機能が低下した危険な状態
9人の医師がチェック 109回の改訂 最終更新: 2024.01.18

心タンポナーデの基礎知識

POINT 心タンポナーデとは

心タンポナーデは何らかの影響で心臓の周りに液体が貯留し、全身に血液を送り出すポンプ機能が低下した病気です。原因は心筋梗塞・大動脈解離・外傷などが多いです。主な症状は息切れ・頻脈・動悸などですが、病状が進行するとショック状態になり顔面蒼白や意識消失などを起こします。 症状や身体診察に加えて、心臓超音波(エコー)検査やCT検査などの画像検査を用いて診断されます。原因となっている病気の治療が行われますが、心臓の圧迫が強い場合は心嚢穿刺を行って液体を取り除くことで心臓の機能を回復させます。心タンポナーデが心配な人や治療したい人は、循環器内科や救急科を受診して下さい。

心タンポナーデについて

  • 心臓の周りに溜まった液体(心嚢液)が原因で、心臓が外側から圧迫されて全身に血液を送りづらくなってしまう状態
    • 通常、心臓を包んでいる心膜と心臓との隙間(心嚢)には、心嚢液と呼ばれる液体が30-50mL程度存在する
    • 何らかの原因で心嚢液が急激に増えたり、心嚢内に血液が溜まったりすると心臓を圧迫することがある
    • 心臓は膨らむことができず、全身に血液を送るポンプ機能が低下する
    • 血液が全身に届かないことで酸素不足となり、最終的に意識消失や突然死の原因となる
  • 多量の心嚢液が溜まったとしても、ゆっくり溜まった場合では心タンポナーデを起こさない場合もある
  • 心嚢内に体液が溜まる主な原因
    • 急性の原因
      • 急性心筋梗塞の心破裂(心臓の筋肉に穴が空く)
      • 大動脈解離の心嚢内出血(解離が心臓まで及ぶ)
      • 急性カテーテル検査時の壁穿孔
      • 胸部外傷
      • 開心術後
      • 急性心筋炎
    • 慢性の原因
      • 悪性腫瘍の心膜転移
      • 尿毒症
      • 特発性心膜炎(主にウイルス性)
      • 結核性心膜炎

心タンポナーデの症状

  • 急性に病気が進行した場合に起こる主な症状
    • 頻脈
    • 血圧低下
    • 呼吸困難
    • 四肢冷感などのショック状態
    • 意識消失

心タンポナーデの検査・診断

  • 心臓超音波検査エコー検査)
    • 心臓のまわりに溜まっている液体の量や心臓の動きを調べる
  • 心電図検査
  • そのほか、詳しく原因や状況を調べるためにCT検査(胸部CT検査、心臓CT検査)やMRI検査を行うこともある

心タンポナーデの治療法

  • 原因となっている疾患が明らかであれば原疾患に対する治療を必ず行う
  • その上で、心タンポナーデに対し、緊急で心嚢液を抜き出す処置が必要
    • 心嚢穿刺:針を刺して心臓周囲の液体を抜く
    • 心嚢ドレナージ:管を挿入することによって心臓周囲の液体の排出を促す
  • 血圧低下やショック状態の場合は、補液や輸血、昇圧薬が必要
  • 原因となっている疾患によっては、手術による治療を行うことがある

心タンポナーデの経過と病院探しのポイント

心タンポナーデでお困りの方

心タンポナーデが進行すると、息切れや意識がぼんやりとするといったような症状が出現します。ほかの重症な病気や外傷があった上でそれに続発して生じるものですので、健康な方がご自宅で普段通り暮らしていたら心タンポナーデになった、ということは基本的にありません。既に入院中の状況や、ほかの疾患の強い症状がある中で症状の一部として発症するような疾患(状態)です。

したがって、心タンポナーデについては診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にもバリエーションが少ないため、どこでどのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気でしょう。一時的な治療のためには心臓の周囲に針を刺して溜まった液体を抜く処置を行いますが、この処置以上に重要なのは、心タンポナーデに至った原因を治療することです。原因が改善しないかぎり心タンポナーデは(治療を行っていても)進行し、命に関わる深刻な状態です。

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